長期に渡る住宅ローン返済。無理のない返済負担率は20%前後といわれていますが、それでも返済が滞ってしまうケースがあるといいます。みていきましょう。
手取り29万円・42歳サラリーマンの幸せ家族だったが…「月9万円」の住宅ローンも返済できず「自己破産」の危機 (※写真はイメージです/PIXTA)

100人に4人はローン返済に問題あり

マイホームを手に入れ、ローン返済にもそれほど負担感もない……そんな幸せ家族も、全員がトラブルなく完済できるかといえばそうではありません。

 

住宅金融支援機構によると、2020年のリスク管理権の割合は3.48%。これは「返済されるかどうか、あやしくなってきた貸付金」のこと。つまりローン返済者の100人に4人程度が、住宅ローン返済に問題を抱えていることになります。コロナ禍という特別な状況下ではありましたが、通常でも1~2%程度なので、決して他人事ではありません。

 

ローン返済が苦しくなる理由のひとつが、給与減やリストラ。東京商工リサーチによると、2022年に早期・希望退職募集を開示した上場企業は38社で、人数を公表した31社(若干名は除く)の合計は5,780人。前年の1万5,892人からは大きく減少しているものの、昨今は、黒字リストラが増加から中高年のリストラが増えているといいます。

 

その狙いは、人事制度の見直し。黒字で余力のある時に人員の入替を積極的に行い、より時代にあった雇用体制、人事制度への見直しをするというもので、だぶついている中高年が、真っ先にリストラの対象になるというわけです。「住宅ローンの返済もあるのに……」。そんなこと、企業は配慮してはくれません。

 

大企業のリストラの場合、通常は退職金が上乗せで支払われるので、リストラ対象になってもまだまし。「明日から一文なし、この家を手放さないと……」という事態は大抵は避けられます。

 

深刻なのが中小企業の場合。業績悪化によるリストラが多く、いきなり解雇ということも珍しくはありません。「不当解雇だ!」と訴えることもできるでしょう。しかし訴えたところでどうにもならない状態に陥っている場合も。そうなったときに、すぐに再就職できればいいのですが、それが叶わず、キャリアの空白期間ができてしまったときが大変です。住宅ローン破産も現実のものとなります。