息子が「塾に通いたくない」と吐露した本当の理由
母親が、塾へ通いたくない理由を息子に問いただしたところ、息子は次のように話しました。
「勉強して良い会社で働いたら、お父さんやお母さんみたいに毎日忙しくしないといけない。つらい仕事なんてしたくない」
「僕が塾を辞めたら、その分お金を使わなくていい。そしたら、お父さんとお母さんももっと早く帰って来てくれるでしょ? それなら僕、家で勉強する。だから早く帰ってきて」
「お父さん、お母さんともっと一緒に過ごす時間が欲しい。僕より仕事が大事なの?」
まさか、息子がこんなに寂しい思いをしていたなんて……母親は息子に申し訳ないという気持ちから、思わず涙してしまいました。
と同時に、「息子のことを第一に考えながら」、「息子が大人になってから困らないように」と、一生懸命に働いていたつもりでしたが、果たしてそれが息子のためだったのか? 自分たちの希望を押し付けていなかったか? そう考えたとき、自分が無意識に「選民思想」にも似た考えをもっていたことに気づき、どうしようもなく情けなくなったそうです。
「わが子のために」がうみだす「親子の溝」
2022年度の公立学校統計調査報告書によると現在、東京都ではおよそ5人に1人が私立中学校に進学しているそうです。こうした背景には、格差社会が顕著になりつつある日本でわが子には“脱落”してほしくないと切に願う親の思いがあります。そのような状況で、特に共働き世帯の親子の「コミュニケーション不足」が問題視されています。
コミュニケーション不足の原因
①両親の仕事と子供の塾通いにより家族団らんの時間が少ない
②ストレス(お金・仕事・人間関係)により家族のコミュニケーションが阻害されている
Oさん家族は皆さんそれぞれが仕事や塾で忙しいため、なかなか一緒に過ごせる時間がとれませんでした。いきなり旅行へ行く時間を確保するのは難しいので、ご家族で話し合いをしてもらい、まずは土日のうち3時間、仕事のことは気にせず、家族団らんの時間を確保していただくようにしました。
どうしても携帯が手元にあると手に取って見てしまうため、電源をオフにして引き出しに仕舞っておきます。
元気のなかった息子さんも週1回、3時間だけですが家族団らんの時間を設けたことで、その時間を楽しみにしながら毎日を元気に過ごしています。
旅行についても、年末年始に近場ではありますが負担の少ない温泉地を計画されているそうです。