都内の中堅メーカーに勤める37歳のPさん。結婚後夫婦共働きでお金を貯め、友人の勧めもあり都内に6,500万円のマンションを購入しました。公私ともに順調なPさんでしたが、「予想外の出来事」で家計は途端に火の車に……。破産の危機に陥ったPさんに、FPである株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏はどのような助言を行ったのでしょうか。みていきます。
年収600万円の37歳・会社員、念願のマイホーム購入も…家庭から笑顔が消えた「住宅ローン返済額」【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“どうせなら価値の高い物件を”…年収600万円のPさん、6,500万円のマンションを購入

都内の中堅メーカーで経理として働くPさん(37歳)。年収は600万円ほどで、現在は育児中の妻(34歳)と生後半年の息子との3人家族です。育児に入る前、奥様は年収380万円で医療事務として働いていましたが、現在は退職しています。

 

「マイホームはまとまった貯蓄ができてからにしよう」と、結婚後3年ほど経ったころマンション購入を決断。「どうせ買うなら資産価値の高い物件を」と、都内にある6,500万円のマンションを35年フルローンで購入しました。最寄り駅から徒歩10分圏内にあり、アクセスは抜群です。

 

マンション価格高騰のなか、購入を決断したワケ

Pさんがマンション購入を検討しはじめた当時、都内のマンションは軒並み価格が上がっていました。一度はためらったものの、下落する兆しが見えず、Pさんには「このままでは手が届かない値段になってしまう」という焦りがありました。また、相談した友人のなかには、「購入したマンションが数年で1,000万円以上値上がりし、いまは売却して別のマンションに住んでるよ」という人もいました。

 

この話を聞き、「これ以上価格が上がらないうちに、俺たちも資産価値の高いマンションを買おう」と奥様と一緒に物件探しを開始。何軒か見学し、立地・設備ともに申し分のない物件と出会いました。金額は6,500万円と、「少し高いかな」という気持ちはありましたが、先ほどの友人の話が後押しになりました。

 

最新の設備が揃った新しい我が家は、とても快適でした。プライベートでは第1子となる息子が産まれ、仕事でも新しいプロジェクトメンバーに抜擢。公私ともに充実した生活が続きました。

 

ところがあるとき、通帳を確認したPさんは驚きました。結婚後に増え続けていた預金残高が減っているのです。それもそのはず、出産後に妻が仕事を辞めたため、世帯収入が大きく減っていたのでした。

 

マイホームと新たな家族の誕生に、「これまで以上に頑張るぞ」と前向きに仕事に取り組まれていたPさんでしたが、1馬力で6,500万円のローン返済はみるみる家計を圧迫。お金の余裕がなくなったことで夫婦の関係性まで悪くなっていたそうです。

 

首が回らなくなったPさんは、友人の紹介で藁をもすがる思いで筆者のFP事務所を訪ねました。