生活保護制度は健康で文化的な最低限度の生活を保障するものです。生活保護世帯の子にも、夢を追求する権利、高校・大学で学ぶ権利があります。本記事では、これまで10,000件以上の生活保護申請サポートを行ってきた特定行政書士の三木ひとみ氏が、著書『わたし生活保護を受けられますか』(ペンコム)から、生活保護世帯の子が進学したいと希望した場合に利用できる給付制度をはじめとする公的サポートについて解説します。
「生活保護世帯の子は大学へ行けない」は嘘!“年間最大96万円もらえる奨学金”に“バイトもOK”…こんなにある「公的サポート」【特定行政書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自らの努力で将来を切り拓くためにすべきこととは

◆生活保護を抜け、未来を切り拓くきっかけに

生活保護を受けていると、義務と責任は表裏一体ですから、家庭訪問を受けたり、資産収入申告の義務もあったりします。

 

生活保護を抜けて、生活保護費の代わりに、手厚くなった給付奨学金を受けることで、むしろ私は、生活保護世帯のままアルバイト収入の申告や家庭訪問を受ける義務などから解放される状況は悪くないと考えています。

 

定期的に家庭訪問を受けて、自立を促され、生活保護の原資が税金であるという話を聞く、これは健康な若者のプライドが傷つくことがありますが、給付奨学金であれば気の持ちようが違うのではないでしょうか。

 

生活保護を抜けると医療費は無償でなくなりますが、一時的に大学生が病気やけがで医療費が莫大にかかるような事態になれば、休学すれば生活保護は受けられます。

 

◆自分のした努力は必ず実を結び、花を咲かせてくれる

勉学に励み、自らの努力で将来を切り拓いていくことは、日本では誰にでも平等に当然にそこにある、自由・権利です。

 

若い頃はとにかく本を読み勉強することを強くおすすめします。自分のした努力は必ず実を結び、花を咲かせてくれます。

 

私自身の経験からも、そう実感しています。幼い頃に両親が離婚し、鬱(うつ)を発症した母をケアする、今で言うヤングケアラーで、勉強どころではなかった私ですが、中学2年の春、『凡人でも人の3倍努力をすれば天才になれる』といったようなフレーズを本で読み、一念発起。

 

1日の中学生の平均勉強時間を2時間と仮定して、その3倍の6時間を勉強しようと決意しました。とはいえ、塾や予備校も行けず、図書館や学校で借りた本で勉強しました。

 

部活動もバレーボール部に所属して、朝練も毎日ありました。朝3時に起きて6時まで勉強し、そこから1時間で朝の支度をして朝食を済ませ、7時に家を出ました。帰宅は17時。

 

そこから大急ぎで食事の支度をし入浴を済ませ、18時から21時まで勉強。21時から午前3時まで就寝。部活をして睡眠時間6時間を確保しながら、毎日自宅で6時間の勉強が可能でした。

 

この勉強によって、夢だった留学、進学ができ、今につながっています。

 

私の場合は、主に貸与型の奨学金を高校、大学と借り、社会に出たときにすでに1千万近い借金を背負っていました。

 

だからこそ、これほど充実した「返済不要の給付奨学金制度」を多くの生活保護世帯のお子さんとご家族の方が知り、活用してほしいと願っています。

 

 

三木 ひとみ

行政書士法人ひとみ綜合法務事務所

特定行政書士