長時間労働にパワハラなどのハラスメント……「もう無理!」とブラック企業を辞めることを決心した人たちにとって、最も「我慢できなかったこと」は「給料が安いこと」でした。ブラック企業、低賃金の実情をみていきましょう。
30代のサラリーマンなら平均月37万円だが「たったこれだけ!?」ブラック企業の少なすぎる給与額…それでも辞められない切実理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

30代後半になっても大卒初任給以下の低賃金で働く、ブラック企業勤務のサラリーマン

――そんな会社、辞めたら?

 

ブラック企業とはほど遠いところにいる人は、そう思うでしょう。日本労働調査組合が自身の勤務先が「ブラック企業だと思う」と回答をした全国20~49歳の会社員男女552名を対象に行った「ブラック企業に関する労働調査」によると、会社を辞めることを検討していると回答したのは7割。そしてその理由としてあがったベスト3が「給料が安い」「従業員を大切にしない」「仕事量が多い」。

 

大卒サラリーマンの平均月収(所定内給与額)をみていくと、20代前半で23.5万円、20代後半で27.3万円。30代前半では32.1万円、30代後半で37.8万円と、多くは年齢とともに順調に昇給していきます。

 

次に給与分布をみていきましょう。大卒サラリーマン、20代前半の中央値は22.9万円、20代後半で25.7万円。昨今、大卒初任給が22万~23万円程度といわれているので妥当なところ。そんななかで月収20万円未満の割合をみていくと、20代前半で10.8%。それでも年齢的に「うちの給料、ほかよりもちょっと低いかな」と、許容できる範囲でしょうか。

 

そして20代後半になると4.6%とグッと減ります。ここまでくると、「うち、ブラック企業かも……」と不安になるころ。30代前半では3.3%、30代後半では1.9%に。「たった、これだけ……」と、思わず肩を落してしまうような給与の大卒サラリーマン。50人に1人は月収20万円未満という「ブラック企業確定」というなか、懸命に働いています(関連記事:『【早見表】大卒サラリーマン月収分布…年齢別の中央値と初任給以下の割合がまるわかり』)。

 

ここまでくると「辞める」という選択肢が濃厚になりますが、前出の調査の通り、7割は「こんな会社辞めたやる!」と思っている反面、3割は「会社を辞められない」と回答しています。その理由で最も多いのが「転職活動が不安」で41.7%。「生活が困窮する」が38.9%、「家族を不安にさせる」19.9%、「同僚や関係者に迷惑がかかる」17.6%と続きます。長時間労働で転職活動の時間を割くことができなかったり、収入のない期間が発生してしまったりなどの不安により、辞めるという選択肢を放棄してしまっているようです。

 

ブラック企業かも…まずは相談したいと思ったら

もし「うち、ブラック企業かも……」と感じたら、辞めるという選択肢のほかに、問題の解決を図ったり、会社と戦ったりなどの選択肢も。そのような場合、相談すべきはまず「労働基準監督署」。「長時間労働」や「賃金未払い」など、労働基準法違反について相談するところです。ただし「ハラスメント」などの民事的争いには介入はできません。

 

そのような問題に対しては「労働局」へ相談。同じ厚生労働省が管轄する期間ですが、広く労働問題について相談することができます。場合によっては、紛争の仲裁に入ってくれることも。ほかにも弁護士や法テラスなど、相談できるところは色々とあります。

 

また相談前にすべきことは証拠の用意。長時間労働であれば、オフィスや建物への入退室の記録、日々の出退勤の時間を記したメモ、メールの送信履歴、交通系ICの利用履歴など。ハラスメントであれば、メールや発言の記録をとっておくようにしましょう。後々、交渉や裁判になったときに有利に働きます。