令和4年、日本の在留外国人数は過去最高となり、今後も増加していくと予想されます。日本で永住を目指す人も多いなか、在留外国人に対する金融機関の条件は厳しく、持ち家の取得には大きなハードルがあるといいます。本記事では、30代・日仏カップルの事例とともに、日本における在留外国人の住宅事情について、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収1,200万円でも「住宅ローンは借りられません」…30代・日仏カップルが撃沈した、在留外国人の“厳しい住宅事情”【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

在留外国人の住宅事情

出入国管理局が発表した『令和4年末現在における在留外国人数について』によると、令和4年末の在留外国人数は3,075,213人で、過去最高となりました。グローバル化が進む現代の日本では、今後もこの人数は増えていく見込みです。

 

在留外国人は、日本ではどのような住宅に住んでいるのでしょうか。平成27年の国勢調査によると在留外国人のうち50%が民間賃貸住宅に住んでいることがわかりました。一方で持ち家は17%に留まります。これは、在留外国人は比較的若年層が多く、いずれ母国に帰ることを前提としていることが背景にあります。

 

一方で日本人と結婚している外国人や、日本で仕事を持ち永住を目指す外国人は、日本人と同じように「老後の住まい」としての持ち家は人生設計の面からも重要です。しかしながら、持ち家の取得には金融機関の取り扱いにおいて大きなハードルがあります。

 

ここでは在留外国人が住宅ローンを借りて持ち家を取得するときの現実を、事例を交えて解説していきます。

 

そもそも「在留資格」とは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

最初に基本的な知識から解説していきます。「在留」とは、外国人が観光ではなく目的をもって日本に滞在することを意味します。この「在留」の資格は活動類型資格地位等類型資格にわかれます。

 

活動類型資格は下記の3つに分類されます。

・就労資格(経営管理や転勤、技能実習など)

・非就労資格(留学や家族)

・特定活動(介護福祉士候補者など)

 

地位等類型資格は下記の4つに分類されます。

・永住者

・日本人の配偶者

・永住者の配偶者

・定住者

 

このうち永住者とは、10年以上在留していて独立した生計を持ち、罰金刑(交通違反を含む)や懲役刑を受けていないことなど厳しい条件をクリアした外国人です。永住者のうち「特別永住者」に分類されるのは、第二次世界大戦のあとサンフランシスコ講和条約によって日本国籍から離脱した韓国・朝鮮、台湾の国籍の外国人とその子孫です。

 

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮し、一定の在留期間を指定して居住を認める者とされ、具体的には、難民認定された人、日系2世・3世、中国残留邦人とその配偶者と子供などが該当します。

 

これらの在留資格には例外があります。在日米軍で働く軍人・軍属、その家族です。日米地位協定(SOFA)により、通常の外国人のように在留資格を持たない定めとなっています。

在留外国人は住宅ローンを借りられる?

日本に長く居住していこうとすると持ち家が欲しくなりますが、住宅ローンを借りる場合には厳しい条件が存在します。ほとんどの銀行では外国人に対する住宅ローン融資は永住許可があることを条件としています。永住許可があれば日本人と変わらない条件と手続きを経て融資を受けることが可能です。

 

しかし問題は永住許可がない場合です。永住許可がない在留外国人に住宅ローンを融資する金融機関はごく少数です。居住する地域によってはそれらの金融機関の支店がないこともあり得ます。ここで実際の事例をみていきます。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)