「世帯年収1,600万円・30代勝ち組夫婦」の転落劇…住宅ローン月7.7万円を払えず貯金4,000万円はパー、多額債務者へ落ちたワケ【FPが解説】

（※画像はイメージです／PIXTA）

世帯年収1,600万円の夫婦共働き夫婦…幸せもつかの間、妻に起こった「変化」

「ペアローン」で6,000万円の注文住宅を購入

都内に暮らす共働きのNさん夫妻は、どちらも30代。それぞれ、名の知れた大手企業に勤めています。夫のNさん（36歳）は年収1,000万円で、妻のRさん（34歳）は年収600万円程度。世帯年収で1,600万円という比較的高所得の夫婦です。

お互いに仕事が忙しく、1日のうちで話ができるのは朝食の時間だけ。夜は帰りが遅いため、顔を合わせないことも珍しくありません。6年前に結婚してからずっとこのような調子で、お互いに「そろそろ子どもが欲しいな」と思いながらもつい先延ばしにしてきました。

2人が暮らす家は、4年前に35年ローンを組んで購入した6,000万円の注文住宅です。Nさんが単独債務としてローンを組むこともできましたが、妻も収入が安定していたため「ペアローン」を利用することにしました。双方が返済責任を負うことで対等な夫婦関係が維持できるのではないかと、2人で話し合ったうえでの決断でした。

また、「どっちにしろ妻も一生懸命働いて返済を手伝っていくのに、自宅の名義に妻の名前が入らないのは不平等だ」と夫のNさんが気遣ったそうです。

住宅ローンの詳細は下記のとおりです。

毎月の返済額は2人合わせて約15万円。2年ほどはなんの問題もなく返済を続けていました。ところが……。妻の「ある変化」で、夫婦の経済状況は急転落していくことになります。

妻が「怪しい言動」を繰り返すように…

妻Rさんの仕事は営業職。いつも笑顔で朗らかな性格のため取引先からも好かれやすく、仕事は順調でした。しかしあるとき、夫Nさんは気づきました。妻がいつの間にか、違和感のある言動を繰り返すようになっていたのです。

「出会いに感謝」「過去は生ごみ」「仲間のために」「アファメーションが大切」……こういった自己啓発めいた格言やキーワードのようなものを、自分に言い聞かせるように口にするようになりました。

なにかの本や動画に感化されたのかと驚きましたが、Nさんは「どうせ一過性のもので、すぐ飽きるだろう」と考えました。

しかし本格的に心配になってきたのは、妻が突然車を買った日からです。なにも知らされていなかったNさんは、家の前に置かれた高級輸入車を見て驚くというよりも、悪い予感がしました。住宅ローンは大丈夫なのか？

「自動車ローンを借りたの？　払えるの？」とNさんは帰宅早々声をかけましたが、妻は「ネガティブだね、そういうところ直したほうがいいよ」と少し馬鹿にしたような返答です。夫は内心ムッとし、買ってしまったものはしょうがないかと、そのまま放置してしまいました。