令和4年、日本の在留外国人数は過去最高となり、今後も増加していくと予想されます。日本で永住を目指す人も多いなか、在留外国人に対する金融機関の条件は厳しく、持ち家の取得には大きなハードルがあるといいます。本記事では、30代・日仏カップルの事例とともに、日本における在留外国人の住宅事情について、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収1,200万円でも「住宅ローンは借りられません」…30代・日仏カップルが撃沈した、在留外国人の“厳しい住宅事情”【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

外国人を日本に迎えるために重要な「住宅環境」

(※画像はイメージです/PIXTA)
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出入国管理局『令和4年末現在における在留外国人数について』によると、在留外国人の資格別の人数は次のようになっています。

 

(1)永住者 863,936人

(2)技能実習 324,940人

(3)技術・人文知識・国際業務 311,961人

(4)留学 300,638人

(5)特別永住者 288,980人

 

このうち最も多くを占める永住者は令和3年末と比較しても32,779人増加しています。少子化とグローバル化が進む日本では今後もより在留外国人が増えていくものと思われます。企業のなかでも外国人が増えていくことは予想されます。それに合わせて、日本人が外国人と結婚する(あるいは事実婚)ケースも増えるでしょう。外国人が日本社会にとって重要な存在になっていくのは確実です。

 

日本社会に定着してもらうためには住宅事情が安定することも重要なポイントになります。永住許可を得てから住宅ローンを借りて持ち家を手に入れることが現実的かもしれませんが、日本の銀行は審査において「年齢」を重視します。年齢が高くなるほど審査は厳しくなり、返済期間も短くなってしまうため、返済額の負担は大きくなってしまいます。

 

永住を目指している、または日本人と結婚し日本で長く生活する人生設計であれば、永住許可を待たずに住宅ローンを借りることも選択肢として考えておいていいかもしれません。

海外の常識とは異なる…在留外国人が注意すべき「日本の住宅市場」の特徴

永住権を持たない在留外国人への融資について、金融機関は物件の担保価値も非常に重視しています。地価が安い地方都市では特に、融資が上手くいかないことがありえます。地方でまれにある「非線引き区域のニュータウン」などは融資されないと思っていいでしょう。

 

また、在留外国人が間違って認識しやすいのが日本の住宅市場の特徴です。日本では中古住宅市場が未成熟で、特に戸建て住宅は急激に資産価値が逓減してしまいます。リフォームを繰り返すことで資産価値が上がるのが、イギリスやフランス、アメリカなどの住宅市場の特徴ですが、日本では特に戸建て住宅は消費に近く資産とは呼べないのが現実です。

 

日本では購入時よりも高い値段で売却できるのは、大都市圏の築浅のマンションだけです。戸建て住宅の場合は引退後に売却して老後資金にできるという意味での資産運用はあまり現実的ではありません。

 

この部分の家に対する感覚の違いも理解しておかなくては、万が一の時に売却しようとしても借金が残ってしまった、人生設計が狂ったということになりかねません。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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海辺の広い土地や、自然豊かな農村部に居を構えたいという外国人は多くいますが、それらは売却時に大変な困難が予想されます。万が一、将来母国に戻りたいとなったときに売却できない、売却しても借金が残るという悲惨なことになります。もしかしたら所有者不明で放置されてしまうかもしれません。

 

将来の人生設計が未定であればむしろ賃貸物件に住むほうが安全ですが、日本では高齢者が賃貸物件を借りるときの入居審査が厳しいのも現実です。専門家の力を借りて、自分の家計にとってより安全な選択をする必要があります。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表