会議中の居眠りは「危険」のサインかも…
<症例2>
持続性心房細動で当院を受診されました。近年、当院では睡眠時無呼吸症候群と不整脈の関係が非常に深いことに着目し、カテーテルアブレーション治療をする際には、睡眠時無呼吸症候群の検査をセットで行うのですが、その検査で、重度の睡眠時無呼吸症候群であることが判明しました。
カテーテルアブレーション治療により、心房細動の症状は大きく改善しましたが、その一方、患者さんは「睡眠時無呼吸症候群の症状は一切ない」と断言します。睡眠中の覚醒や日中の眠気、倦怠感などはないとおっしゃるのです。
しかし、検査では「重度」という結果が出ていますから、心房細動の再発予防も兼ねてCPAP治療を導入しました。 患者さんは「CPAPによるメリットを感じない」とおっしゃいますが、その後、たまたまその方の上司とお話をする機会がありました。
その方は「先生、弊社の社員に治療をしていただき、感謝いたします」とおっしゃったのち、「そういえば、彼は会議中の居眠りが治りました」と続けられました。聞くと、その患者さんはそれまで会議中にほぼ100%居眠りをしており、どれだけ周囲が注意しても治らなかったのだそうです。
周囲の人たちは「根性が足りない」「もっと気合を入れろ」と叱っていたそうですが、その患者さんは「どれだけ注意しても、いつの間にか眠ってしまう」と弁明していたとのこと。当人は、会社で居眠りをしていることは恥ずかしくて私にいえなかったようです。
「しかし先生のところでカテーテルアブレーションをしていただいてから、居眠りがなくなりました。先生が心臓に焼きを入れてくださったおかげです」と上司の方はおっしゃいました。
しかし、カテーテルアブレーション治療で居眠りがなくなることはありませんから、CPAP治療が奏功したのは明らかです。居眠りや倦怠感などのよくある症状はつい軽視されがちですが、実は、睡眠時無呼吸症候群が原因となっている場合もありますので、注意が必要です。
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