(※画像はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」を控え、公的年金だけでは老後資金を完全に賄えないといわれています。そんななか、税制優遇を受けられる積み立ての方法として「iDeCo」や「NISA」がクローズアップされています。それらに加え、掛金の一部が所得控除の対象となる「個人年金保険」があります。しかし、果たして「iDeCo」や「NISA」と異なるメリットはあるのでしょうか。検証とともに解説します。

個人年金保険の商品にはどんな種類があるか

個人年金保険の商品の種類は大きく分けて以下の通りです。

 

【個人年金保険の商品の種類】

・ノーマルな個人年金保険(円建て)

・外貨建て個人年金保険

・変額個人年金保険

 

しかし、あらかじめ言っておくと、「ノーマルな個人年金保険(円建て)」はあまりおすすめできません。

 

なぜなら、運用が日本国債で行われているからです。日本では長年にわたりマイナス金利政策がとられているため、国債の利率は著しく低くなっています。

 

お金が増える効果はほとんど見込めず、実質的なメリットは「個人年金保険料控除」の節税効果だけということになります。なお、生命保険会社も商品の運営自体が苦しくなっており、販売停止にしているところもあるくらいです。

 

したがって、もし活用するとすれば、「外貨建て個人年金保険」または「変額個人年金保険」ということになります。以下、それぞれについて説明を加えます。

 

◆外貨建て個人年金保険

「外貨建て個人年金保険」は、主に「米ドル建て」です。アメリカ国債で運用されているため、運用利率が高くなっています。

 

ただし、為替相場の変動の影響を受けるので、為替相場が「円高ドル安」に触れた場合に円換算の金額が目減りしてしまう「為替リスク」があります(対処法については後述します)。

 

◆変額個人年金保険

「変額個人年金保険」は、株式や債券等の複数種類の投資信託のなかから、自分で運用方法や組み合わせを選ぶスタイルの商品です。

 

どれを選ぶかは自己責任なので、ハイリスク・ハイリターンの商品といえます。

 

特に人気があるのが、「アメリカ株式」や「世界株式」の投資信託で運用するものです。

 

◆「外貨建て個人年金保険」「変額個人年金保険」のリスクと対処法

「外貨建て個人年金保険」は為替相場の変動、「変額個人年金保険」は株式相場や債券相場の変動の影響を受けるというリスクがあります。

 

しかし、個人年金保険という金融商品の特性として、毎月一定額の保険料を払い続けるしくみ自体が、自然とリスクの分散になっています。

 

たとえば、保険料を毎月1万円ずつ支払って積み立てていく場合を想定すると、米ドルであれば「1ドル133円」の時は1万円で約75.2ドル分になり、「1ドル110円」の時は約90.1ドル分となります。つまり、「円安ドル高」の時は少ないドルを購入し、「円高ドル安」の時はたくさんのドルを購入することになります。

 

これを長期間続ければ、結果として、その間の平均値で購入したことと同じ効果が得られます。騰落のリスクが分散され、長い目で見れば、お金が増えていく可能性が高いといえます。

 

投資信託についても同様です。特に、過去をみると10年に1回くらいの頻度で大暴落が起きていますが、大暴落した場合は同じ額でたくさんの口数を購入できます。また、大暴騰した場合には、「高値掴み」を最小限に抑えることができます。

 

したがって、短期的な騰落に一喜一憂せず、20年~30年、何があっても淡々と同じ額を機械的に積み立て続けるしくみは優れているといえます。

iDeCo、NISAにない個人年金保険のメリットは?

iDeCo、NISAにない個人年金保険のメリットはあるのでしょうか。検証します。

 

◆個人年金保険は税制メリット、手数料等でiDeCo、NISAに及ばないが…

まず、所得控除の面では、「掛金全額の所得控除」を受けられるiDeCoに及びません。また、増加益への課税の点では、「非課税」となっているNISAに及びません。

 

さらに、個人年金保険は、後述するように死亡保障等の「保険」の側面も持っているうえ、営利企業である生命保険会社の商品であるため、販売や維持にかかるコストが余計に差し引かれています。

 

なお、iDeCoやNISAの場合でも証券会社の手数料がかかりますが、手数料が著しく低く運用実績もよい「インデックスファンド」等の商品がメインとなっています。

 

しかも、個人年金保険の場合、途中で保険料が払えなくなって解約したら、損をするリスクがあります。

 

これらの点だけみると、個人年金保険は選ぶメリットがないように見えます。

 

しかし、個人年金保険の商品のなかには、iDeCoやNISAにはないメリットを持つものがあります。以下の通りです。

 

・働けなくなったときの「保険料払い込み免除」がある商品

・運用実績が優れている商品

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