いつまで続くか分からない物価高。生活が困窮する人も増えていますが、その代表が低賃金のケースが多い母子世帯。生活を支援する制度として「生活保護」がありますが、審査は通るものなのでしょうか。月収18万円のシングルマザーの場合を考えていきます。
月収18万円・東京在住の30歳シングルマザー「食事は1日1食」の困窮…生活保護は認められるか? (※写真はイメージです/PIXTA)

食事回数を減らし「物価高」に対応するシングルマザー

ーー暮らしはもっと悪くなる

 

内閣府が行っている『消費者マインドアンケート調査』によると、2023年2月調査で、約6割の人が「半年後の暮らし向きは悪くなる(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)」と回答。その原因として考えられるのが、毎日のようにニュースになる物価上昇。「1年後、物価は上昇する(「上昇する」「やや上昇する」)」と、9割以上の人が回答し、物価高騰を受け入れざる得ないと、誰もが覚悟をしているよう。

 

このような局面では、低賃金の人ほど、生活苦に直面します。

 

――食事は1日1食で我慢するしかない

 

そう投稿したのは、そろそろ離乳食から卒業できるかもと、1歳の我が子の成長を喜ぶ、東京在住30歳のシングルマザー。結婚生活はいろいろと問題があり2年を待たずに破綻。養育費はもらえず、月18万円の給与でなんとか親子2人、暮らしているといいます。

 

――最近、牛乳の値段がすごく高くて

 

昨今の物価上昇は大打撃だといいます。総務省統計局『小売物価統計調査』によると、2023年3月、牛乳(紙容器入り、1リットル)の全国平均価格は232円。昨年10月は213円でしたから、この半年で急激に値上がりしました。あらゆる生活必需品が値上がりするなか、節約できるところは節約しようと、手を付けたのは自分の食事代だったというわけです。

 

厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯(平均世帯人員、3.18人)の平均年収は自身の収入だけで272万円。そのうち勤務先からの収入は236万円、中央値は200万円。単純計算、月々16万円程度、手取りにすると13万円程度が、母子世帯の平均的な生活費だと考えられます。このシングルマザーは、平均よりは少し多いものの、決して楽ができる金額とはいえないでしょう。

 

それなのに、なぜ養育費をもらっていないのでしょうか。厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯で養育費の取り決めを行ったのは約半数。残りは養育費の取り決めを行っていません。その理由はさまざまですが、「相手と関わりたくない」「相手に支払う意思がない」「相手に支払う能力がない」等の理由が、4〜5割を占めます。生活苦のひとり親世帯に対して「養育費があるから暮らしていけるだろう」という声は、あまりにも残酷に聞こえるかもしれません。