平均値では黒字になる「東京・一人暮らし・若者」の家計事情だが…
一方、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、東京都・製造業勤務のサラリーマン(平均齢44.9歳)平均給与は月41.2万円、年収は649.6万円。20代後半だと、月26.2万円、年収389.2万円。独身であれば手取り月20万円ほどで、家賃を除けば8万円ほど残る計算です。
総務省統計局『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、2023年3月、民営借家1ヵ月(1畳当たり)値段の平均は8,822円。25平米ほどの部屋であれば、6.6万円。家計は1万円強、黒字になります。
あくまでも平均値で考えた単純な計算なので、実際に黒字な人もいれば、赤字になる人もいるでしょう。どちらにせよ、若者の東京の1人暮らしは、結構な厳しさであることに変わりはなさそうです。
貧困の若年層。その要因は非正規社員の増加や、学歴格差などさまざま言われますが、要因のひとつとして挙げられるのが奨学金。昼間に大学に通っている学生の半数が何らかの奨学金を受給しているという一方で、5人に1人は「(奨学金の返還)延滞したことがある」といわれています。
日本学生支援機構によると、月々の返還額は平均で1万6,000円ほど。単純計算ではありますが、平均値から考えると、20代後半での給与では奨学金の返還を抱えていては家計が赤字になることも珍しくなさそうです。
――借金をして大学に通ったのだから奨学金を返すのは当たり前
確かにその通り。しかし奨学金が返還が重荷になり、結婚や出産にも影響を与えているといわれているなか、問題をそのままにしておくのも問題です。
現在、貸与型が主流といわれている奨学金ですが、給付型の制度をいかにして普及させるか。若者の貧困を解決する直接的な方法のひとつではありますが、それだけでは不十分。一向に上がる気配のない賃金事情、なんだかんだいって新卒有利の雇用形態……若年層の貧困の是正のために、クリアしなければいけないことは山積みです。