老後の生活を支える公的年金。保険料の納付実績や給与・賞与から、将来、いくらくらいの年金を手にできるか、計算することができます。しかし「見込額とだいぶ違った……」というケースも。みていきましょう。
月収41万円・50歳のサラリーマン「年金月16万円」のはずが…65歳で愕然とする「年金減額」の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ年金は減額に!? 考えらえる理由、5つ

年金が見込額よりも少なくなってしまう理由は、大きく5点。

 

①国民年金保険料の「免除制度」や「納付猶予制度」、「学生納付特例制度」を利用したから

国民年金保険料は月額16,520円(2023年4月~2024年3月)。しかし収入が減ったり、途絶えたりして保険料の納付が厳しくなった場合、「保険料免除制度」を申請できます。承認されれば、保険料の一部~全部が免除になります。

 

免除期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれますが、年金額は免除割合に応じて以下のようになります。

 

・全額免除:保険料を全額納付した場合の年金額の1/2

・3/4免除→保険料を全額納付した場合の年金額の5/8

・半額免除→保険料を全額納付した場合の年金額の6/8

・1/4免除→保険料を全額納付した場合の年金額の7/8

 

また20~50歳未満の本人・配偶者の前年所得が一定額以下となり、保険料の支払いが難しくなった場合は、「保険料納付猶予制度」の申請ができ、承認されれば保険料の支払いは猶予されます。しかし、猶予を受けた期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれるものの、受給額には反映されず、減額になります。

 

さらに学生の場合、決まった収入がないので、月々1.6万円程度の保険料の納付は厳しいもの。「学生納付特例制度」を利用すれば納付を猶予してもらえます。10年以内は追納が可能ですが、10年をすぎると追納ができなくなり、年金は減額になります。

 

②国民年金保険料に「未納期間」がある

国民年金への加入は義務であるものの、保険料に未納期間があると、その分、老齢年金は減額されます。未納を放置している場合、催告や督促が行われ、最悪のケースとしては、財産の差し押さえも。

 

③「年金の繰上げ受給」をしている

老齢年金は原則65歳から受給開始になりますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に受給することも可能です。しかしその分、受取額は減額になります。減額率は「繰上げ請求した月から65歳の誕生日の前月までの月数×0.4%」で、最大24%の減額になります。この減額率は一生変わりません。

 

④「在職老齢年金」を受け取っている

在職老齢年金は、厚生年金に加入しながら受け取る老齢厚生年金のこと。基本月数(加給年金を除いた老齢厚生年金の月額)と総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+直近1年間の標準賞与額の合計÷12)の合計が47万円を超えた場合、「(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2」で求めた支給停止額が在職老齢年金から差し引かれます。