KさんとRさんは、年収1,100万円の妻と年収320万円の夫、いわゆる「格差婚」と呼ばれる夫婦です。ふたりはペアローンを組み住宅を購入しましたが、2年後に夫の浮気が発覚し、離婚することに……。本記事では、格差婚夫婦の事例とともに、ペアローンの落とし穴について長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
年収「35歳妻1,100万円・37歳夫320万円」の“格差婚夫婦”、ペアローンで住宅購入…夫の浮気発覚で妻が“2度”後悔したワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

離婚した格差婚夫婦…住宅ローンのその後

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

最終的には、夫Rさんの両親が自宅を売却し預貯金と合わせて妻の持分を買い取ることになりました。妻Kさんは持分を両親に贈与し、債務を完済することに。夫の両親はRさんと今後一緒に住むことになりました。実家が引っ越してきたというわけです。

 

ついでに消費者金融の借り入れ分も完済してもらったため、今後の養育費の支払いも可能になりました。養育費算定表によれば、所得の関係上、養育費は2万円程度ですが払える見込みができました。また、夫と浮気相手から200万円の慰謝料を受け取ることができましたが、これも両親のおかげでしょう。妻Kさんは「義両親には感謝します」と言っていました。

 

「家を買う前になにをやっておくべきだったのでしょうか」と後悔しているというKさんが質問しました。 離婚を前提として家を買う人は多くはないはずですが、連帯債務やペアローンのデメリットの最大のものは離婚時であると自覚しておくべきでした。

 

また、残念ながら収入格差がある夫婦の場合(特に妻の年収が高い場合)、離婚したあとで収入が低いほうが路頭に迷わないように借入額と資産形成には注意すべきです。

 

つい世帯年収をベースにして借入額を決めてしまいますが、それは「離婚しなかった場合」にのみ返済できるという危機感が必要です。いざ離婚という事態に陥った場合、どのような段取りでお互いの持分と債務を処理できるのか、「万が一」というニュアンスで想像してみても大げさではありません。もちろん嫌な想像です。離婚時の住宅ローンの処理については、各家庭で状況がさまざまです。同じパターンなどありません。具体的な対策には限度があります。大切なのは夫婦間の信頼を失うような行動はしないという気配りであるのはいうまでもありません。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表