2023年もいよいよ新年度。すでに学卒者が入社している会社もありますが、フレッシャーズを目にしては、「自分もこんな時があったなあ」と思わず目を細めてしまうことも。そんな新卒社員ですが、いまから老後を見据えていおいたほうが身のためです。みていきましょう。
月収23万円の大卒新入社員…サラリーマンが手にする「年金額」にご満悦も、年金減額確定に「冗談なら、やめてほしい」 (※写真はイメージです/PIXTA)

大卒新入社員「年金だけで暮らせる老後」がみえてきたが

年齢と共に、順調に上がり続けるであろう給与。しかし初任給とともに初めて給与明細を目にしたとき、「こんなに天引きされるんだ……」と肩を落とすことになるでしょう。特に老後にはほど遠い新入社員にとっては、「なんで厚生年金でこんなに払うんだ」と憤りを覚えるかもしれません。

 

そこで、仮にずっとちょうど真ん中の給与(中央値)を手にする会社員人生を送るとすると、どれほどの年金を手にできるか、考えてみましょう。

 

現行制度では、厚生年金保険料は「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×加入月数」で算出できます(2003年4月以降の場合)。定年が60歳だとすると、平均標準報酬額は44万円となり、厚生年金は月9万4,053円。国民年金は満額支給とすれば、月々15万8,053円の年金を手にすることになります。

 

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、65歳以上の単身世帯の平均消費支出は14万9,208円。

 

――やった、年金だけで暮らせる!

 

と思ったのなら、早合点。上記の年金額は給与と同じく“額面”。10~15%ほど天引きされると考えると、年金は13.4万~14.2万円ほどとなり、ちょうど真ん中の給与の大卒サラリーマンでは「微妙に年金だけでは暮らせない」というのが現実です。

 

ただいまの世代は定年年齢があがり、65歳まで働くのが当たり前、となるのが濃厚。仮に65歳まで正社員として働いたのなら、平均標準報酬額は47万円となり、加入月数も増えたことで、厚生年金部分は11.3万円となり、年金総額は17.7万円に。手取り年金は15.0万~15.9万円となり、「年金だけで暮らせる」という状況になるでしょう。

 

あくまでも現行の年金制度は積立方式ではないので、払った分だけ年金がもらえる、というわけではありませんが、平均寿命を考えれば、意外といい投資とも考えることができます。

 

そんな、ちょっと明るい未来の話をしてきましたが、すべて現行制度で現行の水準で考えた場合のこと。現実の話をしていきましょう。

 

先日、出生数が80万人を割り想定よりも10年早く少子化が進んでいると話題になりました。今後、それだけ高齢者を支える現役世代が少なくなり、現役世代が高齢者を支えるという年金制度の維持が疑問視されています。現状の財政検証を紐解いても「年金2割目減りは確実」といえる状況。先ほどの前提から「さらに年金2割減」とすると「年金だけで安心」という世界はあっという間に崩れ去ります。

 

――年金制度の崩壊

 

「そんなの冗談でしょ」と思うかもしれませんが、改革なくして制度は保てないとされており、現行制度を基準に考えると痛い目にあうのは確実です。

 

想定よりも早く状況悪化が進行する日本。年金2割減など序の口で、何割目減りとなるかは未知数だといえるでしょう。「年金は当てにしない」「年金はもらえたらラッキー」くらいに考え、コツコツと将来の見据えて資産形成を始めるほうが身のためです。