税務署職員「税務調査に伺います」…49歳・運送業社長、思わぬ「多額の追徴課税」に膝から崩れ落ち、涙【税理士が解説】

税務署職員「税務調査に伺います」…49歳・運送業社長、思わぬ「多額の追徴課税」に膝から崩れ落ち、涙【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「経費削減」をしようとし、税務調査で「多額の追徴課税」を課されるケースは多くあると、税理士の都鍾洵(みやこ しょうじゅん)氏はいいます。今回は、運送業者が税務署から追徴課税を受ける仕組みについて、M&Aに詳しい都税理士が事例をもとに解説します。

追徴課税8,700万円。行き詰まって辿り着いたM&Aという活路

しかし、それから3年後、最寄りの税務署から任意の税務調査を受けました。その調査結果は衝撃的でした。

 

「交際費の否認、外注費の給与認定で、法人税と消費税、源泉所得税を合わせた追徴税額は8,700万円になります。」

 

実は、給与を外注費に変更しても、後で「ただ契約を巻き直せばよい」というほど単純なものではありません。「実態」と「形式」をいずれも満たす必要があります。

 

例えば、勤務時間や日数について、給与扱いの場合であれば月22日稼働で一日7時間勤務(拘束)といった働き方になります。他方外注扱いの場合であれば日数に制限はありませんし、拘束時間も毎日異なるのがむしろ普通です。

 

その他、車両の所有者は、給与扱いであれば勤務先となるでしょうし、外注扱いならドライバーが保有しているでしょう。また、ガソリン代についても、給与扱いなら勤務先が負担しますが、外注扱いであればドライバーが支払うことでしょう。

 

これらを実態と契約上の形式のいずれも満たす必要があります。

 

今回の事例では「勤務実態は変わらない」と言っている時点で外注扱いは難しかったものと推察されます。また、ストレス発散に飲みに行っても、それは経費とはなりませんので、ご注意ください。(なお、2023年10月以降はインボイス制度導入により尚更消費税節税の余地は減少しておりますので、顧問税理士と慎重に検討していただくことをオススメします。)

 

「そんな……節約できた金額よりもはるかに大きいではないか…」若社長はあまりの金額に膝から崩れ落ち、涙してしまいました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

途方に暮れる高山社長を見かね、同業で同じく代表を務める古野社長が、小規模M&A支援をしている私のもとに連れてこられました。

 

高山社長は「コンサルの言いなりになった責任は私にあるので、譲渡額は二の次です。会社、従業員、顧客は守りたい」と希望しました。

 

たまたま私が繋がりのあった鈴木運送に話を持ちかけると興味を持ってくれました。その上、株価は二束三文ですが、今回の追徴税額相当を負担してくれるというのです。また、株主は鈴木運送となりますが、社長は継続してくれ、という願ってもない条件でした。

 

「良かった……これで親父が創業し成長させた運送業を後世に残せる」

 

高山社長は再起に向けて、前向きに仕事に取り組んでいます。

 

 

都 鍾洵(みやこ しょうじゅん)

かがやきM&A株式会社代表取締役

税理士

 

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