年金の受け取り方…「繰り下げ受給」と「繰り上げ受給」どちらが得か【FPが解説】

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山中 伸枝
年金の受け取り方…「繰り下げ受給」と「繰り上げ受給」どちらが得か【FPが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

改正により2022年4月から老齢年金の繰り下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられました。では実際に受け取る際には「繰り下げ」と「繰り上げ」のどちらが得なのでしょうか?年収600万円・59歳男性とその妻の受給額を例に挙げ、受け取り開始年齢ごとのシミュレーションとともに、FPの山中伸枝氏が解説します。  

「年金受給額を増やしたい」相談に来た59歳Aさん

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

「年金だけでは暮らせない、高齢夫婦が日々質素な暮らしをしている」と紹介するテレビ番組を見て、老後がますます不安になったAさんがFP相談にやってきました。Aさんは来年定年を控える会社員です。年収は役職定年により現在は600万円、同い年の専業主婦である妻と27歳の長女、23歳の次女と同居しています。

 

「なんとか子どもが成人してくれましたが、これまでの教育費や65歳まで続く住宅ローンで貯金は200万円ほどしかありません。会社の退職金は約1,000万円と聞いています。年金もいくらなのかわかりませんし、いまから増やせる方法があるなら知りたいです」

 

では、Aさんのねんきん定期便から老齢年金額を確認しましょう。老後の暮らしは、平均的な年金額や一般論で語られるケースも多いのですが、個々人の年金額は、働き方や期間、そして収入によって異なるため、毎年お誕生月に届くねんきん定期便で必ず確認するべきです。

 

Aさんは、FP相談の前に家の中を探したそうですが、万が一、見つからない場合は「ねんきんネット」から入手も可能です。「ねんきんネット」とは、ネット上で自身の年金情報を手軽に確認できる日本年金機構によるサービスです。

 

大学を卒業後、就職し、定年まで同じ会社で働くAさんの65歳から受け取れる年金額は、国民年金が78万円、厚生年金が100万円、合計178万円です。この金額は、前述どおり調整されるわけですが、将来を見積もる際には、まずはこの金額をベースに考えます。

 

会社員として勤めた期間が短い妻の年金は、国民年金が78万円、厚生年金が9万円、合計87万円。夫婦併せて265万円ありますから、住宅ローンの返済が終わりさえすれば、なんとか暮らしていけそうな金額のようにも見えます。

 

しかし、ここから税金や社会保険料が引かれますし、将来の医療や介護、リフォームや余暇のお金までを叶えようとすると、できればもう少し余裕を持ちたいものです。

 

質問の年金額を増やす方法ですが、2つあります。まずひとつ目が厚生年金に加入し、働いて増やすという方法です。例えば65歳まで継続雇用で働くとしましょう。するとその分65歳から受け取れる年金額が増額します。

 

月30万円で65歳までの5年間働くと年間約10万円の年金額が増える見込みです。増やせる年金額は、

 

平均給与額×5.481/1,000×働いた月数

 

で計算します。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。