多くの企業で60歳を定年としていますが、8割以上の人が「60歳以降も働くこと」を選択しています。一方で60歳で定年&引退する人は1割強。60歳以降の働き方の違いによる年金格差を紐解いていきます。
月収42万円だったが「もう、疲れました…」60歳定年で現役引退のサラリーマン、5年後に後悔する年金月額 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳引退を決めたサラリーマンと、65歳まで働くことを決めたサラリーマンの年金格差

60歳定年で現役引退を選ぶ人が約13.0%。7~8人に1人は60歳で会社員人生を終えています。一方で60歳以降も働くことを選んだ8割以上の会社員との間には、65歳以降にもらえる年金に差が生じます。実際、どれほどの差となるのでしょうか。サラリーマン(正社員)の平均給与から考えてみましょう。

 

60歳定年前の平均給与(所定内給与)は月42.8万円、年収は694万円です。20歳から60歳までサラリーマンの平均給与を手にしたとしたら、平均標準報酬額は32等級中26等級で46万円。60歳定年で現役引退した場合、65歳から手にする公的年金は、厚生年金部分が10万円。国民年金が満額支給であれば、月16.4万円を手にする計算です。

 

では65歳まで働いた場合はどうでしょう。65歳前の平均給与は月35.1万円で年収は529万円。年収は60歳定年から25%以上減額となっています。平均標準報酬額は60歳定年時と変わらず、26等級で46万円。65歳でもらえる年金額は厚生年金部分が11.3万円。国民年金と合わせて17.4万円となります。

 

つまり平均的なサラリーマンが、60歳定年後も厚生年金の保険料を5年分多く払った効果は、月1.3万円ということになります。

 

*厚生年金の受給額は加入期間が2003年3月までは①「平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数」、加入期間2003年4月以降は②「平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数」で計算できるが、便宜上②のみで計算。

 

60歳定年で現役引退をするか、65歳まで働いて現役引退をするか。そこで生じる月1.3万円の年金差。これをどう評価するかは人それぞれですが、平均寿命から逆算すると、老後は20年あまり。もちろん平均以上に老後が続く人も多いでしょう。長い老後のなかで、昨今の物価高騰のように、不測の事態が生じることも。そうなると、月1万円ほどの年金格差が恨めしくなるものです。定年後のキャリアプラン、マネープランはよく考えたいものです。