多くの企業で60歳を定年としていますが、8割以上の人が「60歳以降も働くこと」を選択しています。一方で60歳で定年&引退する人は1割強。60歳以降の働き方の違いによる年金格差を紐解いていきます。
月収42万円だったが「もう、疲れました…」60歳定年で現役引退のサラリーマン、5年後に後悔する年金月額 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳で定年…働くことをやめますか? まだ働きますか?

厚生労働省『令和3年簡易生命表』によると、男性の平均寿命は81.47 年、女性の平均寿命は87.57年。健康寿命との差は男性で8.79年、女性で12.19年。一方で現行、公的年金を手にするのは原則65歳ですから、平均的な日本人の老後は20年前後ということになります。

 

一方で定年年齢は、多くが60歳というのが主流。ただ2013年「高年齢者雇用安定法」によって、65歳までの雇用確保が義務となり、2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務となっています。また、さらなる法改正により、70歳までの就業確保が努力義務になるなど、年齢に関わらず働ける環境は整いつつあります。

 

厚生労働省『高年齢者雇用状況等報告』によると、65歳定年企業は2017年15.3%だったのが、2022年には21.2%に増加。66歳以上も働ける企業の割合は、39.9%、70歳以上まで働ける企業の割合は38.2%となっています。

 

実際に60歳で定年を迎えた人は、どのような選択をしているのでしょうか。

 

同調査によると、報告のあった企業の常用労働者数約3,380万人のうち、60歳以上の常用労働者数は約447万人で、全体の13.2%。年齢別にみていくと、60~64歳が約239万人、65~69歳が約126万人、70歳以上が約82万人。また従業員31人以上企業の60歳以上の常用労働者数は約421万人で、2009年調査と比較すると、約205万人も増加しています。

 

一方で、60歳定年企業において定年に到達した人は369,43人/年。このうち「継続雇用者」は86.8%、継続雇用を希望せずに「定年退職した人」は13.0%、継続雇用を希望したものの「継続雇用されなかった人」は0.2%でした。

 

継続雇用には、慣れ親しんだ環境で働けたり、ゼロから仕事を探す必要がなかったりというメリットがあります。一方で、ミッションや役職が変わりモチベーションを保ち続けるのが難しかったり、雇用形態の変更などで給与が下がったりする、などのデメリットもあります。

 

また雇用形態や役職が変わったとはいえ、ベテラン社員が働き続けることに戸惑いを感じる現役社員も多いといいます。これは役職定年制がある会社でもみられる問題。「55歳で役職定年」という場合、60定年までの5年間は、「役なし」

 

――以前上司だった人(部下だった)人と、どのように接したら……

 

そんなギクシャクした環境に疲れ、定年後も働くことを断念したり、せっかく継続雇用となったのにのちに退職を決意したり。そんな選択をする人も多いのが実情です。