3月15日に迫った確定申告期限。手続きの煩雑さから、つい後回しにしているという人も少なくありません。そこで今回、FP事務所ストラット代表の伊豫田誠氏が、初めての確定申告で苦い経験をしたT氏の事例をもとに、確定申告で陥りがちな「3つの苦戦ポイント」を解説します。
年収980万円の35歳・エリート会社員「初めての確定申告」終えてひと安心も…数週間後「税務署から質問攻め」にあったワケ【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

初めての確定申告…T氏が苦戦した「3つ」のポイント

1.必要書類の整理

確定申告をするにはまず、収入(売上)と支出(経費)がわかる明細書や請求書、領収書といった、申告に必要な数字を集計する必要がある。

 

T氏が投資している不動産に関しては、購入した会社から1年間の収支が集計された一覧表が送られてきたため、これを見て作成すればよい。そのほかにも、不動産投資のために勉強した書籍や、情報を調べるために利用したパソコンやインターネット費用も経費になると聞き、それらの領収書や請求書もまとめておいた。

 

「これで大丈夫だろう」と思ったが、投資用不動産ローンの返済予定表を紛失していることに気づいた。これでは支払った金利分がわからないため、銀行に再発行をお願いした。

 

また、T氏は趣味でやっていた革細工を副業にしようと考えていた。まだ販売はしていないものの、準備段階で必要経費になりそうな領収書や請求書、支払い履歴等をT氏はまとめておかなかったため、それらを探したり、再発行したりするのに手間を要した。

 

このように、確定申告直前に必要書類を集めようと考えていると、見つからなかったり忘れていたりで、正確な数字がわからなくなってしまう恐れがある。確定申告を見据え、毎月コツコツと集計しておくことが重要だ。

 

2.確定申告書の作成

確定申告書は前述のように、国税庁のホームページ上で作成することができる

※ 参照:国税庁HP「確定申告書等作成コーナー」

 

T氏は同僚から、「簡単に作成できる」と聞いていたが、いざ「ご利用ガイド」を参考に作成しようとすると、わからない用語が次から次へと出てきた。最初のうちはその都度ネットで検索して調べていたが、それでもわからないことが続くとイライラが募る。

 

さらに1人で作成していたT氏は、入力した項目も正しいのか間違っているのかわからなくなり、ついにホームページ上での作成を断念してしまった。

 

その後、必要になるであろう書類をすべて持って管轄の税務署に駆け込み、職員にマンツーマンで作成を手伝ってもらった。しかし不足している書類があり、不備が出るたびに自宅と税務署を5回ほど往復することに。その後、ようやく手書きで確定申告書を完成させ提出することができた。

 

ホームページ上での確定申告書の作成が難しい場合、毎年確定申告の時期になると各地域自治体に相談窓口が設置され、そこでサポートを受けることができる。しかし、ここでも必要書類をまとめておかないと2度3度と足を運ぶことになるため、準備が重要だ。

 

頑張って確定申告書を完成させたかいがあり、節税金額は約40万円に。ご満悦のT氏であった。