「遺族年金」とは「家族を養っていた人が亡くなった際、残された家族に対して年金が支給される」という制度です。この制度を聞いたことがある人は多いでしょうが、いざ自分がもらう立場になったとき、実際にいくらもらえるかわからないという人は少なくありません。そこで今回、FP事務所ストラット代表の伊豫田誠氏が、54歳の夫を亡くしたAさんの事例をもとに、遺族年金と「万が一の事態」への備えについて解説します
手取り45万円・54歳会社員の夫急逝…〈遺族年金支給額〉をみた妻「死ぬまで働くしか」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

快適な社宅暮らしも夫急逝…生活が激変したAさん

手取り45万円、子ひとりのA夫妻。社宅住まいで悠々自適な生活をしていましたが、Aさん夫(54歳)の急逝により住居がなくなり、急遽アパート住まいを余儀なくされました。保険金は出たものの、現在17歳の子供の進学資金に消えそうです。

 

自分の老後資金は遺族年金が頼り……そう思っていたAさんでしたが、遺族年金の支給額をみて愕然。悲しむ暇もなく「辛い労働生活」を送るハメになったのです。

「社宅住まい」のメリットとデメリット

社宅とは、企業が従業員に対して貸し出している住居のこと。

 

社宅に住むメリットとしてまず挙げられるのは、賃料が安いことでしょう。どれくらい割安なのかは物件や企業によって差がありますが、「5,000円~2万円」ほどで住めるケースや、最大○万円まで企業が負担、家賃の数割を企業が負担してくれるなどのケースが多いようです。また、敷金や礼金も必要ないケースが多いです。

 

さらに、「一定額の家賃(賃貸料相当額)」を支払っていれば、その金額が所得から天引きされるため節税につながるところもメリットといえます。

 

企業側としては、社宅があることで「福利厚生が充実した企業」というイメージにつながることもメリットといえるでしょう。

一方、社宅に住むデメリットとしては、

 

・好みの物件や間取りを選ぶことができない
・職場とプライベートの区別が曖昧になる
・退職した場合には、社宅から退去しなくてはいけないため、その後の生活の変化に対応する必要がある

 

などが挙げられます。

 

今回のA夫妻のケースのように、勤めていた方が突然亡くなってしまった場合も急に生活が変わってしまうため、もしものときに備えておく必要があります。しかし、準備が不十分な家庭も多いのではないでしょうか。

 

そこで、万が一に備えた資金準備について考えてみましょう。