不動産投資ローンにおける金利とリスク
不動産投資ローンについて考えるとき、「金利」とは不動産投資物件の購入時に、金融機関から融資を受けた金額に応じて支払う「使用料」のことを指します。
また、不動産投資物件の表面利回りから、融資を受けた際の調達コストとなる金利を差し引いた数値を、「イールドギャップ」と呼びます。不動産の利回りが高く、調達金利が低いほどイールドギャップは高くなる傾向です。イールドギャップの数値が高いと、その分リスクが低くなります。つまり、金利上昇のリスクに備えられるようになるのです。
ただし、不動産投資ローンにおけるリスクについても理解しておく必要があります。特に以下に示すポイントには注意が必要です。
景気の変動による「金利上昇のリスク」
不動産投資において金利上昇のリスクとは、金利が上昇することで利息が増え、家賃収入だけではローン返済が困難になる状況を指します。キャッシュフローの悪化により支出が増えると、その穴埋めに自己資金が必要となり、不動産投資家にとって大きなダメージとなります。
金融機関によって発生する「借り換え・追加融資のリスク」
高くなった金利を抑えるために、ローンの借り換えや追加融資を考える方もいるでしょう。ただし、利用する金融機関によって審査基準が異なり、ローンの借り換え・追加融資を承認してもらえない可能性があります。
特に日本では、2018年に「スルガ銀行株式会社による不正融資問題」が発生したことによって、この審査が厳しくなっています。自由に不動産投資ローンを組める状況ではないため、事前に各金融機関の審査条件などをチェックしておくこと、そして低金利のローンを組める金融機関を探し出しておくことが大切です。
不動産投資ローンを金利の種類で比較する
不動産投資ローンの金利には「変動金利」・「固定金利」の2種類があります。
変動金利のメリット・デメリット
変動金利のメリット・デメリットは次のとおりです。
◆変動金利のメリット
・金利が安い
・返済額上昇は1.25倍までの上限がある
◆変動金利のデメリット
・金利上昇で返済額が増えるリスクがある
「変動金利」は基準金利(短期プライムレート)の変動によって、不動産投資ローンの金利が変動し返済額が見直される方式です。金利の見直しは年に2回(4月・10月)行われます。返済額は5年に1度のペースで変わるケースが大半です。
また変動金利には6年目からの返済額を今までの返済額に対し、125%までしか上げてはならないという「125%ルール」があり、金利が急上昇しても返済額は見直し前の1.25倍を超えることはありません。ただし、金利が上昇してしまうと、その分だけ返済額が上昇してしまうため、長期的なダメージを受けることになります。
固定金利のメリット・デメリット
一方、固定金利のメリット・デメリットは次のとおりです。
◆固定金利のメリット
・固定期間中の返済計画が立てやすい
◆固定金利のデメリット
・変動と比べて金利が高い
・市場金利が下がっても金利は固定
「固定金利」は固定期間中は金利が変わらず固定されます。その期間が過ぎると、変動金利か固定金利かを再び決める仕組みです。
名前のとおり金利が固定されているため、固定期間中は返済計画が立てやすいのがメリットです。ただし注意したいのが、金利を見直す際、変動金利のような上限ルールがないことです。一気に返済額が上がってしまうリスクもあります。