1年間で6,000人の70代が破産!
老後は悠々自適に……そう想像している人もいるでしょう。自由を謳歌している独身者であれば、なおさらかもしれません。ただ自由を満喫するあまり「貯蓄ゼロ」で年金生活に突入した結果、毎月赤字が続き、最終的には老後破綻……そんな道を辿る人も珍しくありません。
日本弁護士連合協会消費者問題対策委員会による『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』で年齢別に破産者数をみていくと、最も多いのが40代で26.9%。その次に多いのが50代で21.4%。年金生活者も含まれる60代は16.3%、70代は9.3%となっています。
2021年の破産件数が68,240件ですので、そのまま数字を当てはめると、60代で破産する人は年間1.1万人、70代で破産する人は年間6,000人ほどだったといえます。このなかに、どれほどのおひとり様高齢者がいるかは判別できませんが、前述のとおり「経済的に余裕のないおひとり様高齢者は4人に1人以上」という現状を鑑みると、相当数いると推測できます。
70代で自己破産……この場合、ほとんどの負債は免除されますが、さまざまなデメリットがあります。
自己破産すると、まず個人情報、いわゆるブラックリストに登録され、クレジットカードが使えなくなります。ブラックリストに登録されると、ローンを組むことも難しくなります。ブラックリスト状態は一生続くかといえばそうではなく、手続き後、一定期間が経過すると情報は消え、また以前のように借入ができる状態に戻ります。
また自己破産が管財事件になると、手続き中の引越しや旅行などは制限。必要があれば裁判所に許可をとって可能ではあるものの、不自由なものになります。
また官報にのるというデメリットも。官報は国が発行している機関紙で、破産情報や氏名、住所などが公開されます。ただ一般の人で官報をチェックする人はごく稀。知られたくない人に知られる、というリスクはほとんどないといっていいでしょう。
このようにみていくと、破産したとしても想像していたほどのデメリットはない、と感じる人もいるでしょう。ただ70代という、人生の総決算に向かうタイミングで破産という状況に陥ることは、何よりも精神的なダメージのほうが大きいものです。
――自分、何やってきたんだろう
――遊びすぎた。きちんと老後のことを考えるべきだった
70代にして、このような後悔をすることのないよう、できるだけ早く老後を見据えて資産形成を始めることが重要です。