正社員との待遇差で話題になることが多い、非正規社員。ついに「賃上げ!」と声をあげたと話題になっています。いま一度、その格差についてみていきましょう。
手取り月18万円…「毎日300本、電話を受けてます。」コールセンター勤務の「40代・男性非正規」が訴える、あまりに苦しい現実 (※写真はイメージです/PIXTA)

「全然、給与があがりません!」非正規社員の訴え

「非正規春闘2023実行委員会」が勤務先の企業に対し、合同で一律10%の賃上げを求めていくとして話題になっています。この「非正規春闘」には16の個人加盟労組に所属する約300名の非正規社員が参加し、勤務先である33社に春闘交渉の申入れを行うといいます。

 

物価高への影響が広がっていますが、正社員に支払われる手当が非正規には支給されなかったり、非正規だけ賃金が下がったりという実態があり、今回、声をあげたといいます。

 

確かに、正社員に比べて非正規社員は、何かと不利になりがち。

 

――毎日300件以上の電話を受けて。5年間、正社員と同じ仕事、それでも給与は1円も上がっていない

 

そんな窮状をネット上で訴えていたのは、コールセンターで非正規社員として働いているという40代男性。厚生労働省によると、コールセンターで働く非正規社員(平均年齢52.4歳)の平均給与は、月22.5万円、手取りにすると18万円程度。年収で307万円です。一方で正社員(平均年齢44.1歳)であれば、平均給与は月30.6万円、年収は486.0万円。給与差は歴然です。

 

また40代前半の非正規社員だとすると、月収は22.0万円、年収で297万円と、平均値に近い給与。ただ非正規社員の場合、正社員のように年を重ねてもそれほど給与は増えません。コールセンター勤務の非正規社員の給与の推移をみていくと、年齢によって増えることはほとんどなく、月収の最高値と最低値の差はわずか3.3万円、年収で58.2万円。一方、正社員では月収で11.2万円、年収で189.3万円。給与の上がり方は、正社員は非正規社員の3倍というイメージです。

 

【年齢別/コールセンター正社員と非正規社員の給与の推移】

~19歳:232.8 万円/266.2 万円

20~24歳:269.6 万円/330.3 万円

25~29歳:295.9 万円/384.5 万円

30~34歳:296.9 万円/441.3 万円

35~39歳:305.3 万円/493.1 万円

40~45歳:297.3 万円/527.9 万円

45~49歳:315.0 万円/552.6 万円

50~54歳:305.8 万円/573.8 万円

55~59歳:305.2 万円/560.4 万円

60~64歳:354.1 万円/411.5 万円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値はコールセンターが含まれるサービス業(他に分類されないもの)の正社員(数値右)と非正規社員(数値左)の年収