NISAや債券活用で「自分年金」の確保を
3.「NISA」を利用する
2014年からスタートした一般NISA(少額投資非課税制度)は、少額(年間120万円)から株式や投資信託で資産運用が可能です。通常投資で得た利益には20%の税率がかかりますが、この制度では非課税となります。
「自分年金」を確保したいのであれば、リスクの高い株式よりも投資信託のほうが適しています。投資信託のなかには、毎月一定の金額が「分配金」として口座へ振り込まれるものがあるからです。たとえば、100万円の投資信託を保有していれば、月々3,000円ほどが分配金として口座へ振り込まれるファンドもあります。
超低金利の日本において、現金を銀行に預けておいても資産は増えませんし、インフレ時には現金価値が目減りしていきます。検討してみてはいかがでしょうか。
4.値動きが気になるなら「債券」がおすすめ
上記で述べたNISAですが、これまで投資の経験がないため「日々の価格変動が気になる」という方も多いのではないでしょうか。そのような場合は、「債券」の活用がおすすめです。債券は満期まで持ち続ければ元本が保証されているリスクの低い投資です。ただ、リスクが低いがゆえにリターンも低くなります(個人向け国債の金利は0.05%)。
年金の受取額を増やす目的で適度なリターンを求めるのであれば、「社債」であればほどよいリターンを得ることができます。大手の上場企業の債券であれば1~2%程度、未上場の社債であれば3~5%ほどの金利のある社債があります。仮に1,000万円を社債として保有すれば、年間10~50万円程度の利息が得られますので、毎年の年金としてまとまった金額が受け取れます。
ただし、社債は発行主体である会社が倒産してしまうと価値がなくなってしまいますので、会社の選定は慎重に行う必要があります。
5.手間のかからない「不動産小口化商品」という手段も
近頃は、老後の資産準備の手段として「不動産投資」を選択する人が増えています。これまで不動産投資というと「お金持ちの投資」というイメージがありましたが、金融緩和と年金問題がメディアに取り上げられるようになり、いまでは若くして不動産投資を始める人も少なくありません。
ただ、不動産を購入するとなるとまとまった金額が必要であり、区分マンション1室のみを所有していた場合、空室の際には家賃収入がゼロになってしまいます。
このようなデメリットを解消したのが「不動産小口化商品」です。不動産小口化商品は、都市部の一等地にある1棟マンションやオフィスビルなどを複数人で所有する仕組みです。そのため、すべての入居者やテナントが一斉に退去しない限りは安定した家賃収入が得られます。利回りは2~4%程度です。
1口100万円ほどから購入が可能ですので、比較的取り組みやすくなっています。さらに面倒な管理は専門家に任せられるので手間がかからず、普段の生活に影響がおよぶこともありません。
まとめ
退職金や余剰資金を預貯金に置いていてもほとんど増えません。投資信託や債券、不動産などに分散して保有することで、安定した「自分年金」を継続して得ることができます。
65歳までであれば、やむを得ない事情により国民年金保険料を納められなかった期間分の保険料や付加年金などを納めることで年金額を増やすことも可能です。また、iDeCoも65歳まで積み立てが可能です。
このように、老後資産は自分に適した方法で早め早めの準備が大切です。もし、「なにが自分に適しているのかわからない」、「最新の情報を知りたい」という場合には、ファイナンシャルプランナーをはじめとした専門家に相談してみることをおすすめします。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役