会社員は勤務先で年末調整をされるため、自営業とは違い基本的には確定申告をする必要はありませんが、状況によって確定申告をする必要が出てきます。今回は年収600万円の大卒・会社員を例に、住宅ローン控除をはじめ、確定申告によりお金が戻ってくる「6つのケース」をみていきましょう。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が解説します。
4,000万円の新築マイホーム購入も「ローン1年目」の大後悔…会社員でも「確定申告」した方がいいケース、6つ【AFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社員でも確定申告すべき場合がある!

下記に該当する場合、会社員であっても確定申告をする必要があります。

 

1.  年間給与が2,000万円を超えている
2.勤務先以外での所得が20万円以上ある
3.源泉徴収されない給与をもらった
4.同族会社の役員等で、その会社から貸付金の利息や資産の賃貸料をもらった
5.災害減免法により源泉徴収の猶予を受けている
6.年末調整で処理していない所得控除や税額控除がある など

 

今回はこのなかから、6番目の所得控除と税額控除などによって払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があるケースをご紹介します。

確定申告すれば税金が戻ってくる「6つのケース」

会社員が確定申告によって払い過ぎた税金が返ってくる主なケースには次の6つがあります。

 

1.ローンを組んで自宅を購入した
2.iDeCo(個人型確定拠出年金)をしている
3.ふるさと納税で寄付をした
4.特定の医薬品を1万2,000円以上購入した
5.医療費が年間10万円超
6.災害や盗難などの被害を受けた


それぞれの内容について、詳しく確認していきましょう。

 

1.ローンを組んで自宅を購入した

ローンを組んで自宅を購入し、そこに住むことによって「住宅借入金等特別控除額(住宅ローン控除)」を利用できます。

 

1年間でローン残高の0.7%、最高14~35万円まで控除されます

※ 一般の新築住宅の上限は21万円、省エネ住宅28万円、ZEH水準省エネ住宅31万5,000円、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅35万円。一般の中古住宅の上限は14万円、中古の省エネ住宅・ZEH水準省エネ住宅・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の控除額は最高21万円。

 

所得税から控除しきれなかった控除額は、住民税から控除することができます。また、控除の期間は新築住宅の場合13年、中古住宅は10年です。住宅ローン控除は初めて控除を受ける年だけ確定申告が必要ですが、2年目以降は会社の年末調整での控除が可能です。

 

ただし、住宅ローン控除を受ける場合、以下の点に注意してください。

 

・金融機関から借りた住宅ローンの期間が10年以上
・住宅を新築した日または購入した日から6ヵ月以内に居住する
・住宅ローン控除の適用を受ける年の12月31日まで引き続き居住している など

 

仮に、省エネ住宅に該当する4,000万円の新築住宅を購入した場合には、

 

4,000万円×0.7%=28万円

 

と計28万円の控除が受けられます。

 

2.「iDeCo(個人型確定拠出年金)」をしている

iDeCoに加入している方は、1年間に払った掛け金の全額が控除されます。基本的には勤務先の会社において年末調整で手続きをしてもらえますが、書類を出し忘れた場合には確定申告をしましょう。

 

たとえば月2万円払っている場合、年間24万円の掛け金となります。年収600万円の会社員で所得税10%、住民税10%の場合、それぞれ2万4,000円の節税となります

※ 復興特別所得税は考慮せず