痛みを放置すると「メンタル不調」の原因に
首や肩の痛みが日常的に続いているために、「それほど気にならなくなってしまった」という人も多いのではないでしょうか。しかし、そうした漫然とした不調を放置しておくと、いずれは神経や精神に影響をおよぼすケースもあるのです。
気づきにくい「神経」や「メンタル」へのリスク
筋肉の緊張や運動不足からくる痛みやこりをそのままにしておくと、いったいどんな影響があるのでしょうか。
たとえば、呼吸が浅くなることで頭痛やめまいが起きます。食欲不振に陥ったり、吐き気や全身の倦怠感、不眠などを招いたりすることも少なくありません。
また、特に気をつけたいのがメンタル面への影響です。痛みやこりが内因的なストレスとなって、メンタルに悪影響をおよぼし、うつなどの症状が出ている人も目立っています。加えて、コロナ禍の漠然とした不安感やストレスも影響し、さらにメンタルのコンディションを悪化させているケースもあります。
実際に、筆者の病院に首や肩の痛みで来院される人によくお話を聞いてみると、「心療内科にも通院しています」「精神科で薬をもらっています」という人も少なくありません。特に気をつけていただきたいのが、女性ホルモンのバランスが崩れやすく、更年期障害に悩まされやすい40〜50代の女性です。
更年期障害の主症状のひとつに「うつ」や「落ち込み」がありますが、ホルモンバランスの乱れからくるうつ症状に運動不足や筋肉の緊張からくるメンタル面の不調が重なって、ますます調子を崩してしまう可能性があるのです。
痛みが慢性化すると抜け出せない「負のサイクル」
そしてもうひとつ、痛みを放置するリスクに、「慢性疼痛」という“負のサイクル”に陥ってしまうことが挙げられます。
慢性的に首や肩、腰などに痛みを抱えていると、どうしても「痛みをなくしてやろう」と思いがちです。それはいってみれば痛みを敵視するようなもので、なんとかして痛みを根絶しようと身体が反応し、頑張りすぎてしまうのです。
たしかに、身体のどこかに痛みがあると生活の質は著しく下がりますし、なにをしていても痛みが気になって集中できないこともあるでしょう。しかし、全神経を痛みに集中させてしまうと、少しの痛みでも敏感に反応し「この痛みをなくさなければ」と精神的にもつらい状況になりがちです。これが、慢性疼痛による負のサイクルです。
いったんこの状態に巻き込まれてしまうと、なかなかサイクルから抜け出すのは困難になりますし、場合によっては心療内科や精神科などの助けを借りなければならないケースも出てきます。
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