社会に出て、40年近く。多くの会社員は、60歳で定年を迎え、いったんひと区切りをつけます。また役職者は定年前にもひと区切りが。みていきましょう。
手取り52万円・大企業の部長…勝ち組会社員のはずが「給与半減」で生活苦「この先、どうしたら」 (※写真はイメージです/PIXTA)

昨日まで部長だったが…やる気大幅減のワケ

役職定年がある場合、問題は大きく2つ。まずは給与減。厚生労働省『賃金構造統計基本調査』(2021年)によると、大企業・大卒の部長(平均年齢52.4歳)の平均給与(所定内給与)は月74.46万円。手取りだと51万~52万円ほど。年収は1,238万円になります。

 

*従業員1,000人以上、男性、大卒の場合

 

部長の肩書がなくなると、どうなるのでしょうか。同調査で非役職者の給与をみていくと、平均給与は月42.29万円。手取りにすると、31万~32万円、年収は617.6万円です。部長という肩書がなくなった途端、給与が半減……決して珍しいことではありません。

 

そして役職定年後の仕事内容・ポジション。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、役職定年後の主な仕事は「所属部署の主要な業務」が52.8%で、「仕事内容は変わらない」が半数。一方で「社員の補助・応援」が20.3%、「部下マネジメントの管理業務」が10.8%、「所属部署の後輩社員の教育」が5.4%。役職定年を機に補助・サポートにまわるケースも多いようです。

 

給与面でも仕事面でも大きく変化することが多い役職定年。肩書が外れた後、「仕事に対する意欲が下がった」が59.2%と、「変わらない」35.4%を大きく上回っています。本来であればキャリア豊富な人材ですから、その経験を大いに活かしてほしいところ。しかし、モチベーションが下がった状態では、とても会社のために尽くそうという気にはなれないでしょう。また現場でも「昨日まで部長だったのに……」と働きづらさを指摘する声も。

 

――給与も減るし、モチベはあがらないし、チーム内で浮いてるし

 

そんな理由から転職を模索するケースも珍しくなく、企業としてはせっかくの人材を手放すことになりかねません。このような問題点から、富士通やNECなど、役職定年制を廃止する企業も増えています。

 

ではただ廃止すればいいのか、といえばそういうわけでもなく、「部長はいつまで部長なんだろう……」と、いつまでも代り映えしないことに対して、フラストレーションをためる部下たちも。上にも下にもメリットのあるように変えなければならず、頭を抱えている企業は多いといいます

 

それはさておき、定年を前に給与を大きく減らすかもしれない役職定年。高水準の給与をベースに日々の生活を組み立てていたため、役職定年を機に生活が一気に苦しくなるケースも珍しくありません。生活水準を急に落とすことは想像以上に難しく、生活破綻の大きな理由に数えられています。

 

――こんなに給与が減るなんて、思ってもみなかった

 

大企業の部長という、誰が見ても勝ち組の会社員。それでも、肩書がなくなった際の「給与減」、さらに定年を迎える際の「給与減」に対応できるよう、前々からライフスタイルの見直しをするのが鉄則です。