2035年、85歳以上の高齢者の人口が、全国で1,000万人を超えるといわれています。「85歳以上1,000万人時代」にどう備えるか、必要性が叫ばれています。ニッセイ基礎研究所、坊美生子氏のレポートです。
2035年、85歳以上人口1,000万人時代の到来…埼玉、千葉、神奈川3県では2021年より8~9割増加 (写真はイメージです/PIXTA)

3―都道府県別の状況

1|都道府県別の85歳以上人口

次に、社人研の5年ごとの将来推計人口で「85歳以上」が最多となる2035年の、都道府県別の状況をみていきたい。まず85歳以上人口を多い順に並べたものが【図表3】である。最多の東京都は約88万人となっているほか、神奈川県(約70万人)、大阪府(約69万人)、埼玉県(55万人)と、大都市圏が続いている。最小は鳥取県(約5万人)、徳島県(約6万人)、島根県(約6万人)などとなっている。

 

【図表3】
【図表3】

 

2|都道府県別の85歳以上人口増加率

次に、社人研の将来推計人口と総務省の人口推計から、最新の2021年から2035年までの、85歳以上人口の増加率を都道府県別に算出し、大きい順に並べたものが【図表4】である。増加率が最大なのは埼玉県で、2035年までに9割以上増える見込みである。次に千葉県(+84.3%)、神奈川県(+77%)がトップ3で、愛知県(+76.1%)、大阪府(+73.4%)などの大都市圏が並んでいる。既に高齢化と人口減少が進行している東北、四国、九州、山陰などでは、増加率は2~3割にとどまった。

 

【図表4】
【図表4】

 

4―85歳以上高齢者の心身の状態

次に、「85歳以上高齢者」の心身の状態の特徴について述べたい。詳しくは筆者の基礎研レポート「高齢化と移動課題(上)~現状分析編~」(2022年11月22日)で説明したが、加齢に伴う心身の変化を表すものとして、ADL(食事、排せつ、着脱衣、移動、入浴など日常生活を送る上で必要な最も基本的な生活機能) と IADL(買い物、洗濯、掃除など家事全般、金銭管理や服薬管理、外出して乗り物に乗るなど、日常生活を送る上で必要な生活機能)を指標とした自立度、要介護認定率、認知症有病率、疾病の受療率が挙げられる。85歳以上高齢者について、これらの状態を整理すると、自立度は顕著に低下し、要介護率、認知症有病率、受療率は大きく上昇する(図表5)

 

【図表5】
【図表5】