2035年、85歳以上の高齢者の人口が、全国で1,000万人を超えるといわれています。「85歳以上1,000万人時代」にどう備えるか、必要性が叫ばれています。ニッセイ基礎研究所、坊美生子氏のレポートです。
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6―おわりに
日本が世界の高齢化先進国であることは、十分社会に熟知されていると思うが、その特徴の一つは急激な「高齢者の高齢化」である。戦後間もない1950年に全国で10万人に満たなかった85歳以上高齢者は、今ではすっかり珍しくなくなり、全国で600万人を超えた。日本全体の人口減少が進む中で、85歳以上人口は当面、増加し続け、2035年には1,000万人を超える大きな塊となる。同じ「超高齢社会」と言っても、前期高齢者の方が多かった5年前までと比べれば、ハード、ソフト両面で、必要とされる施設・設備やサービスのボリュームと比重が変わってくるだろう。
85歳以上高齢者向けに提供するサービスとなると、援助の度合いが強まるため、民間事業として成立させるには高いハードルが予想される。かと言って、必要なサービスをすべて公的保険や公的財源で賄うことはできない。官民が協力し、行政サービスや保険サービスなどの公的サービスと、民間による保険外サービスを組み合わせて提供していくことが必要になるだろう。地域ごとにその仕組みを検討し、必要な人材やネットワークを育成・構築するには時間がかかる。「85歳以上1,000万人時代」にどう備えるか、今から検討が必要ではないだろうか。