1―はじめに
2年後の2025年は、「団塊の世代」(1947~1949年生まれ)がすべて後期高齢者入りし、高齢化率が30%に到達するとして注目されてきた。
前期高齢者ではまだまだ元気な人が多いが、70歳代も後半となれば、様々な心身機能が衰え始める人も多いため、そのボリュームが拡大すれば、社会保障や社会インフラ、各種のサービスに様々な受け皿が必要となる。
さらにその先にあるのが、団塊世代の加齢による「85歳以上」のボリューム拡大である。80歳代後半にもなると、多くの場合、心身機能の衰えが一段階進み、認知症の人や要介護の人も大きく増える。国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の推計によると、2035年、そのような85歳以上人口が全国で1,000万人を超えると推計されている。大胆に移民政策を変更することがなければ、住民のおよそ10人に1人が85歳以上、という時代が訪れる。
そこで本稿では、社人研や政府統計などから、都道府県別の85歳以上高齢者人口や増加率を地域ごとにまとめ、必要となるサービス等についてみていきたい。
2―高齢化の状況
まずは高齢者人口の概況について、前期高齢者である「65~74歳」と、後期高齢者のうち「75~84歳」、「85歳以上」の3つの区分に注目して、これまでの推移と将来推計をみていきたい(図表1)。
高齢者全体(65歳以上)の人口増加は続いているが、年齢区分別にみると、前期高齢者の人口は既に減少が始まっている。総務省「人口推計」(国勢調査がベース)の月ごとの年齢階級別人口推計の毎月推計値によると、それまで増加し続けてきた前期高齢者人口は、2016年半ばに約1,770万人で頭打ちとなり、以降、緩やかに減少している。社人研の将来推計によると、今後も減少が続く。ただし、団塊ジュニアが高齢者入りするため、2035~2040年頃には再び増加する。
これに対して、後期高齢者(75歳以上)人口は増加が続いており、同推計値によると、2018年3月に前期高齢者人口を上回り、ボリュームが逆転した。「高齢者の高齢化」が明白になったと言える。社人研の将来推計によると、2035年頃まで続いた後、いったん減少するが、団塊ジュニアが後期高齢者入りすることで、2050年から再び増加の見込みである。
次に、高齢者を「65歳~74歳」と「75~84歳」、「85歳以上」の3階級に分けて、2020年から5年ごとの人口と人口増加率を見ると、【図表2】のようになっている。3階級の人口を比較すると、2045年までは「65~74歳」が最多である。しかし、時間軸による推移に着目すると、「85歳以上」は2020年の602万人から2035年には1,000万人超に急増し、2040年には1,024万人となる。
3階級の5年ごとの人口増加率を比較しても、「85歳以上」が顕著に増加していることが分かる。2035年までは二けた台のプラスが続いているからである。このような85歳以上高齢者の急増ぶりが、現在から2040年までの高齢化に伴う大きなトピックスの一つと言えるだろう。