資産形成は早めが肝心といいますが、早くから始めた場合とそうでない場合、具体的にどれくらい差がつくものなのでしょうか。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、年収420万円の40代会社員Hさんの事例から「理想の資産形成」を解説します。
年収420万円の40代会社員…同年代よりも給与は低いが「老後は心配していません」のワケ【AFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

最初はなんとなく積立投資…30歳で「イオン」に注目

 

【Hさんの投資信託の実績】

 

22歳(2004年)……2万円から積立投資をスタート
30歳(2012年)……192万円の積立金が235万円(利回り5%)に43万円のプラス。その後積立額2万円を継続
40歳(2022年)……235万円(30歳までの分)+240万円(積立10年分)=475万円が870万円(利回り8%)に

 

Hさんは現在40代。年収は420万円と、同年代の男性会社員の平均年収よりも170万円ほど低いHさんですが、上司に勧められてなんとなくはじめた積立投資をきっかけに資産が増える楽しさに目覚め、いまや「老後はまったく心配していないです」と余裕です。

※40~44歳・男性会社員の平均月給/推定年収…357,600 円/5,911,100 円(厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』から算出)

 

Hさんが続けている積立投資は、手間がかからず「ほったらかし」で継続することが可能です。また、毎月決まった金額を積立することにより、リスクの高い商品の買付価格を下げる効果があります(ドルコスト平均法)。そのためHさんは、リーマンショックやチャイナショック、コロナショックを経ても結果的に資産が増えています。

 

投資信託の積立投資でお金が増える経験を積んだHさんは、株式投資にも興味を持ち始めました。預貯金していてもお金は増えず、もったいないという気持ちが膨らんでいたHさんは、ファイナンシャルプランナーから教えてもらった株主優待と配当金のある株式銘柄から、普段の買い物で利用していた「イオン」に注目しました。

 

イオン株を購入すると、株主優待カードが2枚送られてきます。買い物をした金額の一部がキャッシュバックされる仕組みが気に入りました。1枚は自分で持ち、もう1枚は親に渡して使ってもらうことでHさんの場合は年間1~2万円程度のキャッシュバックを受けることができました。さらに、配当金も受け取ることができます
※ 2022年12月現在の配当金は約1.3%

 

株価の変動はありますが、低金利の預貯金に預けていても得られない高い配当です。

 

Hさんは、30歳のころにイオン株を約50万円分の500株購入しました。当時は株価が1,000円程度でしたが、10年が経った現在の株価は2.8倍の2,800円ほどになっています。いまイオン株を売却すれば約140万円になり、その売買益は90万円になります

※ この場合税金は考慮せず。

 

加えて30代の10年間に配当と株主優待のキャッシュバックにより約30万円をすでに受け取っています。最近は追加で株式を買い増そうか悩んでいるところです。