電気代など、生活必需品が値上がりし、わたしたちの生活を圧迫しています。特に影響が大きいのが、低収入で困窮するケースも多い母子世帯。その苦しい実情をみていきます。
「助けてください」…手取り9万円、生活保護の母子「灯油代高騰」に凍死寸前「寒くて、もう死にそうだ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

手取り9万円のシングルマザー…雪国で生きていくための最低生活費

――寒すぎて、もう死にそう

 

今回の寒波で、まるで冷蔵庫のような室内。ストーブをつけたいが、灯油代が高くて、贅沢ができない……そんな悲痛の叫びは、日々奮闘するシングルマザーから。生活保護を受けているものの、生活は苦しく、そしてこの物価高。生きていくのも精一杯だといいます。

 

たとえば30代後半女性・パートタイマーの平均月収は推定11万2,249円(厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出)。手取りにすると9万円ほどです。

 

そして仮に北海道・札幌市だとすると、最低生活費(2022年4月時点のデータ)は、小学生の子どもが1人いる場合で18万9,890円。その内訳は、「生活扶助基準額」として11万7,900円、「母子加算」として1万8,800円、「児童養育加算」として1万0,190円、「住宅扶助基準額」として4万3,000円。住宅扶助基準額は持ち家の場合支給されず、また実際の家賃のほうが低い場合は、実際の家賃額が支給されます。

 

基本的に生活保護費は、最低生活費と収入の差額が支給されますので、月々9万円強、手にすることになります。

 

最低生活費は、その地で生きていくために必要な最低金額。昨今の物価高は想定されていませんから、生活は日に日に厳しさを増します。実際にこの親子のように、灯油ストーブなどで暖をとるのを我慢して、家の中でもコートに毛布、などで耐え忍んでいる、というケースも珍しくないといいます。

 

最近は「異次元の少子化対策」に代表されるように、日本の先々について議論が交わされています。しかしそんな遠い未来でなく、いま、まさに「生きるのも大変」という人たちも。未来はもちろん「いま」にもクローズアップし、議論、さらには実行をお願いしたいものです。