どの家庭にも程度は違えど地獄はあるものです。一見平穏そうにみえる家庭も、蓋を開けてみれば驚きの事実が露見するかもしれません。今回は、長岡FP事務所代表の長岡理知氏のもとへ相談があった、身に覚えなく多重債務者となっていたSさんの家庭の事例をみていきます。
スマホ「15万円」の分割払いできず…42歳・年収750万円の営業マン、身に覚えなく「多重債務者」となっていた驚愕の真相 (※写真はイメージです/PIXTA)

次々に明らかになる妻の理解不能な行動

Sさんが覚えている限り、クレジットカードは1枚しかもっていないはず。しかし開示書類には6枚持っていることになっています。そのどれも毎月「A」というマークがついています。要するに返済がなかったということです。債務は全体で450万円ほどあるようです。さらにここ最近7社ほどクレジットカードを申し込んだ履歴も残っています。Sさんが行ったスマホの申し込みや住宅ローンの申し込みも記載されています。

 

もしかしたら詐欺でクレジットカードを騙し取られたのかもしれないと思い、妻のその書類を見せました。「このカード、家にはないだろ。警察に行かなきゃ」そうSさんが言うと、妻は急に顔が青ざめました。「それ、持ってますよ」妻は開き直ったかのように無表情で言いました。

 

そしてこう続けます。「あなたがすべて悪い」

 

「え、君が無断で作ったということ? どうして僕が悪いの?」

 

妻は答えます。「娘に死ねと言ったでしょう。私にも低能だと言った」

 

「え? 僕が言うわけがなくないか」

 

「私も娘も書き留めてますから」

 

「……もしそうだとして、このカードの借金とどういう関係があるんだ」

 

妻は続けます。「あなたが悪い」

 

どうやらクレジットカードを妻がSさんに無断で作り、使い込んで返済をしなかったというのは確定のようです。しかもさらにカードを作ろうと申し込んだものの、審査に落ちたのでしょう。

 

妻は昔から冷静な話し合いができない人だということを思い出しました。問題が起きてそれを話し合おうとすると、自分が責められていると感じるらしいのです。そして咄嗟に相手を逆に責め立てるような言葉が出てくる。論点をずらして身を守ろうとする癖がものすごく強い性格なのだとSさんは思い出しました。

 

もちろんSさんは娘に死ねなどと言ったことはなく、妻に低能だと言ったこともありません。どうやら妻の被害妄想です。例によって咄嗟に出た被害意識でしょう。