社会人になってまもなくすると、保険会社に就職した同級生から勧誘を受け、保険に加入するというケースは少なくありません。加入当時は勧められた保障の内容を気に入っていたとしても、自身が実現したいライフプランとマッチしているかどうかまで熟慮していないと、本来自分を守るはずの保険によって苦しめられることになるかもしれません。今回は、長岡FP事務所代表の長岡理知氏のもとへ相談があった、結婚を間近に控えた27歳の女性、Kさんの事例をみていきます。
このままじゃカレと結婚できない…手取り23万円・27歳メーカー勤務、貯蓄を減らし続ける「外貨建終身保険」の驚愕の内容【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

毎月貯蓄が目減りしている…大手自動車部品メーカー勤務の27歳Kさん

Kさんは現在27歳、独身。新卒時から大手自動車部品メーカーで総合職として働いています。来年、職場で知り合った2歳年上の男性と結婚を予定していますが、心配事がひとつあります。Kさんの貯蓄は目減りし続けているのです。

 

Kさんの現在の手取りは月23万円です。22歳で就職してから最初の数年間は順調に貯蓄ができていましたが、最近では毎月の貯蓄はできなくなり、250万円あったはずの預金もいつのまにか半減。特に贅沢をしているわけでもありません。お付き合いしている男性とのデートも男性がすべて払ってくれています。住まいは1DKのアパートで家賃6万円。コロナ前は友人と海外旅行にも行きましたが、最近ではそれもありません。順調に昇給もしているのにも関わらず、貯蓄ができないのです。アパートの更新料と家財保険の請求が来たときも貯蓄がさらに目減りしました。つみたてNISAにも興味がありますが、そんな余裕がありません。

 

その原因についてKさんはよく理解していました。それは「生命保険の掛け金が異常に高い」せいです。Kさんが現在支払っている毎月の掛け金は約8万円。この掛け金をなんとかしなければ、これからの結婚生活に大きな支障が出ると不安になり、筆者のもとへ相談にみえました。

Kさんの保険契約の内容を確認

Kさんが提示したのは、保険のアドバイスだけが必要であること、加入の手続きは保険代理店や保険会社で行うので候補となる保険商品のリストアップだけを依頼したいという条件でした。「売る立場の人からのアドバイスであれば必要ありません」ときっぱり言うKさんに、知性を感じました。

 

確かに、売る立場の人(営業パーソン)が客観的な立場でアドバイスをすることは困難です。当然ながらアドバイスと勧誘行為が利益相反をしてしまいます。Kさんが求めているのは客観的な意見であるため、販売に携わる人にそれは求めないということです。極めて正論です。見直しのアドバイスはFPに依頼し、保険加入の実務だけ保険営業パーソンに依頼する、もしくはインターネット通販で行うというのは、これからの時代に常識とされるかもしれません。

 

そこでKさんが現在加入している契約内容をすべて確認しました。その内容は次のようなものです。

 

・外貨建終身保険:死亡保険金50万ドル、65歳まで払込、掛け金550ドル

・収入保障保険(掛け捨て):65歳払込、掛け金5,000円

・医療共済(掛け捨て):1年更新、掛け金3,000円

・医療保険(掛け捨て):終身払い、掛け金3,500円

 

為替で変動があるものの、1ドル=130円(2023年1月30日時点)とすると全体で約8万円強となります。医療共済だけは就職したときに父親の勧めで加入したものです。そのほかは2年ほど前に大学時代の同級生から営業パーソンを紹介されて加入したものです。

 

「なぜこの構成になったのですか?」とKさんに尋ねると、商談のときの経緯を詳しく教えてくれました。