年収1,200万円超えでも…高給取りの意外な姿
金融広報中央委員会『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』によると、金融資産を「保有している」世帯は78.0%、「保有していない」が22・0%。ここでいう「金融資産」とは、「定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または 将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している 金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えてい る部分は除く」としています。つまり「金融資産がある」ということは「将来に対して備えている」ということになります。
さらに年収ごとにみていくと、年収があがるごとほど「金融資産あり世帯」は増加。年収1,200万円以上世帯になると、9割を超えます。
【年収別「金融資産」の有無】
300万~500万円未満:75.8%/24.2%
500万~750万円未満:83.1%/16.9%
750万~1,000万円未満:88.0%/12.0%
1,000万~1,200万円未満:89.2%/10.8%
1,200万円以上:91.1%/8.9%
出所:金融広報中央委員会『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』より
ただ100%ではありません。年収1,200万円以上世帯の9%は「将来への蓄えなし」という状況です。先ほどの結果から考えると、およそ6万人の勝ち組サラリーマンがそんな不安定な状況にいるということになります。高給だからといって、貯蓄があるわけではないのです。
そうなると、些細なことであっという間に家計は破綻します。会社員である以上、会社の業績によって減給ということは珍しくありませんし、家族が急な病気で、住まいのトラブルで修繕費が……そんなことも当たり前のように考えられます。減給や突発的な出費に応えることができず、あっという間に破綻を迎えてしまうわけです。
高給取りなのに、現役バリバリの中年で家計破綻。その発端となるのは、身の丈以上に良く見せたいという「見栄」であることが多いと専門家は警鐘を鳴らします。「勝ち組」らしい住まい、「勝ち組」らしい車、「勝ち組」らしい暮らし、「勝ち組」らしい子どもの教育……勝ち組ではない、その他大勢からみれば、なんともお粗末な理由ですが、家計破綻のリスクが高い「勝ち組」が意外にも多い、というのが現実。どんなに収入が多かろうが、将来を見据えたマネープランは必須なのです。