とりあえず預金した公務員と投資した会社員…30年後の結末
民間の会社員は先に述べた確定拠出年金などをきっかけに、自身で金融の勉強をして老後の貯えをしている人が多い。一方、国家公務員はこれまで退職金や共済年金で老後の資産形成は考えずともどうにかなってきたために、自身で資産運用をしていない傾向にある。
仮に就職してから同じ金額を積み立ててきたとしても、銀行で貯金をしてきた国家公務員と投資を行ってきた会社員では雲泥の差があるのだ。
たとえば、仮に毎月5万円を30年間積み立てたらどうなるかみてみよう。
金利0.01%の場合、30年後には1,802万6,952円となる。このうち、利息はわずか2万6,952円。一方、金利3%だと30年後には2,913万6,844円になる。このうち利息は1,113万6,844円※。長期でコツコツと積み立てをしているのは同じでも、預け先が違うだけで老後資金が1,000万円以上も違ってくる。
※ この例で税金は考慮しない
また、国家公務員が定年まで勤めた場合は平均で約2,106万円もの退職金※があるが、民間に比べ退職金が高すぎるとして、問題視された平成23(2011年)年以降年々減額傾向にある。
※ 内閣官房「退職手当の支給状況令和3年度」より
このように、制度の変更に見ないふりをして月々の収入や退職金を受け取ったままただ銀行に置いておくだけの国家公務員は「老後苦難」が待っている。
老後2,000万円問題を退職金でカバーできたと安堵しても、ゆとりあるセカンドライフを送るためには退職金だけでは足りない。冷え冷えとした老後生活を避けるためには事前に対策を講じておかなければ、資金が枯渇してしまう日が訪れてしまうだろう。
橋本 徹
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー