年功序列、終身雇用といった「旧型」の働き方が通用しなくなってきた現代でも、「国家公務員になれば生涯安泰」と考えている人は少なくありません。しかし、いわゆる「公務員神話」を信じる国家公務員は、老後破綻に陥る危険性があると、FP Office株式会社の橋本徹氏はいいます。安定した給与に十分な退職金をもらえる国家公務員が「老後破綻」に陥るワケとは、みていきましょう。
月給41万円に2,100万円の退職金…「生涯安泰」を信じた国家公務員に訪れる「老後の苦難」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「国家公務員は生涯安泰」…神話はすでに崩壊している?

「国家公務員」という職業に、皆様はどんな印象をお持ちだろうか? “全体の奉仕者”となって各府省などで働いている国家公務員だが、「生涯安泰」というイメージを持たれる人も多いのではないだろうか。

 

しかし、年金制度の改正や退職金の減少などを「見ないふり」をしてぬくぬく過ごした結果、実際には老後破綻の危機に陥る人も少なくない。今回は、国家公務員が老後苦難する「落とし穴」について考察していく。

 

まず、平成27(2015)年10月から「共済年金」の廃止に伴い、以下の3点が変更となった。

 

1.国家公務員も「厚生年金」の被保険者となった。
2.共済年金の保険料が厚生年金の保険料に統一された。
3.共済年金の3階部分(職域加算)が廃止され、新たに「年金払い退職給付」が創設された。

 

共済年金とは国家公務員や教職員などが加入していた年金制度で、一般的に厚生年金より保険料が安く、3階部分(職域加算)によってもらえる年金額が多いなど優遇されていた。廃止により「年金払い退職給付」が創設されたものの、以前に比べもらえる年金は少なくなった。

 

一方、民間の大企業では年金制度の「3階部分」として企業それぞれに「退職金制度」があり、なかでも最近では「確定拠出年金」を導入している企業が多い。確定拠出年金では、拠出された年金原資について従業員自身で運用先を選定することができ、それにより大きな利益を生むこともあるのが特徴だ。

 

さらに、それをきっかけとして個人としてもつみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などを行っている会社員も少なくない。特にiDeCoについては、拠出できる金額が公務員は12,000円/月に対して会社員は23,000円/月と、大きな金額差がある。

 

このように、年金制度の変更で「生涯安泰」とはいえなくなった国家公務員だが、依然として一般の会社員などと比較すれば収入や受け取れる年金額は高い。では、老後苦労してしまう「落とし穴」はどこにあるのだろうか。

 

それは、老後に向けてコツコツと資産形成しているかどうかの「差」にある。