給与を語る際に何かと指標となる平均値。仕事はお金じゃないといいつつも、平均値よりも高ければ安堵し、低ければ落胆するもの。40代・工場勤務者からの投げかけには、どう答えるのが正解なのでしょうか。
日本人の平均月給30万円だが…有名メーカーの工場勤務・40代「正社員でも、手取り14万円」は悲惨か? (※写真はイメージです/PIXTA)

工場勤務者の「平均給与」は月25万円だが…

工場勤務者の職場となる工場や倉庫は、都市部や郊外のほかにも沿岸地域や山間部など、全国各地に広がっていますが、その7割は東京、大阪、名古屋の三大都市圏に集中しています。正社員率は77.2%。工場勤務と聞くと有期契約の非正規社員の割合が多いイメージがありますが、実際は8割弱が正社員として働いています。

 

前述の厚労省の調査で「工場勤務」の給与の実態をみていきましょう。工場勤務である「生産工程従事者」の平均給与(平均年齢41.9歳、平均勤続年数12.8歳)は月25万7,200円、手取りにすると20万円ほど。賞与も含めた年収は推定425万5,000円です。工場勤務は日本人の平均を下回る給与水準のようです。

 

ちなみにハローワークでの求人統計では、全国平均月21.3万円で、有効求人倍率は0.17倍。人手も十分足りています。

 

もちろん、工場勤務とひと括りにしても、さまざまな職種があります。該当する職種でみていくと、最も平均給与が高いのは「自動車組立従事者」で、月収は31万3,300円、年収は549万6,300円と、日本人の平均値を超えます。一方で最も平均給与が低いのは「紡織・衣服・繊維製品製造従事者」で、月収は20万0,400円、年収は284万0,400円と、平均値を大きく下回る水準です。

 

また所定内実労働時間は165時間と、ほかの職種(大分類11職種)と比べても長いわけではありませんが、超過労働時間、つまり残業時間は17時間と、「輸送・機械運転従事者」の27時間ほどではありませんが、それに次ぐ水準。生産ラインは常に一定ではなく、時期により繁忙期が発生する場合も。そのため、他と比べて残業時間は長くなっていると考えられます。低賃金、しかも残業も多い……あまり良好とはいえない環境で働いている工場勤務者は多いといえそうです。

 

日本の製造業を支える工場勤務者。「仕事がきつい」「給料が安い」などという、マイナスイメージをもつ人もいますが、その職種は多彩で、特殊な技術が必要なものになれば、平均以上の給与も期待できます。手取り14万円で嘆くなら、キャリアアップして高収入を狙う、というのも手です。