物価高騰で、特に生活弱者と呼ばれる人たちの暮らしは困窮を極めています。そのなかには、日本で暮らす外国人も。足立区の調査から、日本在住の外国人の生活ぶりを紐解いていきましょう。
生活費月8万円以下・足立区在住の外国人「日本語分からず、生活保護も受けられず…」 (※写真はイメージです/PIXTA)

足立区在住の外国人、1割が「日本を離れたい」

法務省出入国在留管理庁によると、2020年年6月末現在、日本の在留外国人数(中長期在留数と特別永住者数の合計)は288万5,904人。男女別では、男性が142万5,043人、女性が146万0,861人。国籍は196の国・地域に及びますが、最も多いのが「中国」で78万6,830人。以下、「韓国」43万5,459人、「ベトナム」42万0,415人、「フィリピン」28万2,023人、「ブラジル」21万1,178人と続きます。

 

そんな彼らがどのような暮らしをしているのか、ひとつの例として、足立区が今年8月に公表した『足立区外国人実態調査』から紐解いていきましょう。

 

足立区における外国人人口はおおむね増加傾向で、2022年1月時点で3万3,000人以上の外国人が暮らしています。足立区といえば、竹ノ塚周辺にリトル・マニラといわれる街区があったりと、東京圏でも有数のエスニック・タウンを形成していることで知られています。あくまでも回答者の傾向ではありますが、調査結果からは外国人たちの日本での暮らしを垣間見ることができます。

 

まず回答者の属性についてみていきましょう。外国人といっても日本語でのコミュニケーションは会話では8割、読み・書きでは7〜8割が問題ないレベル。ただし1割は会話、2割前後が読み・書きもままならないという水準で、日本での暮らしの苦労が目に浮かびます。

 

正社員率は47%。日本全体の正社員率は62%といわれているので、それよりも15ポイントほど低くなっています。

 

また現状の生活には7割強が「満足」としているものの、1割弱が「不満」を抱えています。日本語でのコミュニケーション力によるところが大きいという結果が出ています。そして最終的に6割弱が「日本での永住」を希望していますが、1割が「日本を離れたい」と回答しています。

 

■日本語レベル

会話:「できる」88.3%、「できない」10.2%

読む:「できる」79.3%、「できない」17.1%

書く:「できる」70.6%、「できない」25.6%

※できる=ほぼ完全にできる+わりとできる+まあまあできる、できない=あまりできない+まったくできない

■婚姻状況

「既婚(離別、死別除く)」65.0%、「未婚」25.5%

■子どもの人数

「子どもはいない」37.2%、「1人」28.7%、「2人」23.5%

■就業形態

「正規雇用」47.6%、「パート・アルバイト」19.7%、「契約・嘱託」8.0%、「経営者・役員」5.6%、「自営業、自由業」4.4%

■居住形態

「借家・民間の賃貸」35.8%、「持ち家(分譲マンション」20.9%、「持ち家(一戸建て)」20.3%、「都営・区営住宅」7.3%、「公団賃貸」5.6%、「社宅」4.7%

■生活満足度

「満足」73.3%、「不満」8.7%

※満足=満足+少し満足、不満=少し不満+不満

■永住志向

「日本に永住したい」58.9%、「まだ決めていない」29.5%、「日本を出たい」9.5%