●12月FOMCでは50bpの利上げの公算が大きく、声明では利上げ継続が適切との見方を維持へ。
●ドットチャート中央値は2023年末から2025年末まで上方修正、2023年末は5.125%を予想。
●パウエル発言もタカ派的とみられるがほぼ想定済み、今回FOMCが波乱材料となる恐れは小さい。
12月FOMCでは50bpの利上げの公算が大きく、声明では利上げ継続が適切との見方を維持へ
米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月13日、14日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催します。通常、3、6、9、12月の会合では、FOMCメンバーによる最新の経済見通しや、メンバーが適切と考える「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」が公表されます。2023年の金融政策を見通す上での有益な材料が、FOMC声明とパウエル議長の記者会見に加え、提供されるため、市場の注目が集まっています。
以下、今回の注目点を整理していきます。まず、利上げ幅について、弊社は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を予想しています。FOMC声明では、利上げ継続が適切との文言や、利上げペースは、①金融引き締めの累積効果、②金融政策が経済活動やインフレに影響を与える時間差、③経済・金融情勢、を考慮して決める、との文言は維持されると思われます。
ドットチャート中央値は2023年末から2025年末まで上方修正、2023年末は5.125%を予想
次に、ドットチャートについて、メンバーが適切と考えるフェデラルファンド(FF)金利の水準は、9月時点で、2022年末が4.375%、2023年末は4.625%、2024年末は3.875%、2025年末は2.875%でした(いずれもドット中央値、図表1)。
なお、パウエル議長は11月30日の講演で、最終的な利上げの到達点は9月に考えられていたよりも、いくらか高くなる必要がありそうだと述べており、今回はドット中央値の引き上げが予想されます。
弊社は、新たなドット中央値について、2022年末が4.375%、2023年末は5.125%、2024年末は4.375%、2025年末は3.375%を予想しており、9月からの上方修正の幅は、2023年以降、それぞれ50bpとなります。なお、長期(Longer run)は9月時点と変わらず、2.5%を想定しています。なお、2023年末のドット中央値5.125%は、FF金利が5.00%~5.25%の水準に達することを示唆します。
パウエル発言もタカ派的とみられるがほぼ想定済み、今回FOMCが波乱材料となる恐れは小さい
パウエル議長の記者会見における発言は、11月30日の講演での発言から大きな変化はないと思われます。具体的には、物価安定の回復にはまだ長い道のりがあり、政策金利をしばらく引き締め水準で維持する必要があることを強調し、市場の早期緩和期待を牽制する可能性が高いと考えています。そのため、パウエル議長の発言は、タカ派的との市場の受け止めになるとみています。
ただ、50bpの利上げや、FF金利が5.00%~5.25%に達することの示唆は、ほぼ織り込み済みで、パウエル議長の発言も前述程度なら想定の範囲内であるため、今回のFOMCが波乱材料になる恐れは小さいと思われます。なお、弊社では、ドット中央値の引き上げを予想しましたが、米金融政策の見通しは変更していません(図表2)。これは、この先、米景気減速が大きく進み、5%を超えるFF金利の引き上げが難しくなると判断しているためです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2022年12月FOMCプレビュー ~今回の注目点を整理する【ストラテジストが解説】』を参照)。
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト