大学を卒業しても、就職できず……そんな就職氷河期世代の人たちには、いまだかつてないほどスポットライトが当たっています。一方、そんな時代でも正社員になれた人たちからは「就職したあとが大変だった」という声も。みていきましょう。
手取り27万円だったが…「失業保険は受け取れません」65歳で退職の会社員「初耳なんですけど」 (※写真はイメージです/PIXTA)

65歳を過ぎて退職…失業保険はもらえる?

生きがいとして働きたい。生活のために働きたい。経験を生かしたい……働きたい理由は人それぞれ。とはいえ、高齢者といっても、働く土俵は定年前と同じ。ときに「解雇」という非常事態に直面するケースも。そんなとき、「失業保険がもらえたら……」と考えるでしょうか。大丈夫です、60歳を超えても失業保険(基本手当)はもらえます。

 

雇用保険についておさらいしておくと、まず雇用保険に加入していないと、いざというときに失業保険(基本手当)はもらえません。加入要件は「勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること」「1週間あたり20時間以上働いていること」「(例外はあるものの)学生ではないこと」の3つ。

 

そして雇用保険の適用拡大のため、2022年から65歳以上でも雇用保険が適用されることになりました。65歳の加入条件は、前出のとおり3つです。

 

失業保険(基本手当)の受給額は、1日あたり「賃金日額×所定の給付率」で計算され、60歳以上65歳未満の給付率は45〜80%。上限額は今年の8月1日から7,177円になりました。

 

——では、65歳を超えている人は、いくらもらえるの?

 

実は65歳の誕生日の1日前からは、失業保険の基本手当はもらうことができません。失業保険の代わりに、高年齢求職者給付金を受給できるようになります。年金を手にしていても受け取ることができ、給付金の受給額に関わらず、年金が減ることもありません。一般的な失業保険とは異なり、高年齢求職者給付金は分割ではなく一括での支給となります。

 

高年齢求職者給付金の受給要件は「離職の時点で65歳以上に達した雇用保険の被保険者」「離職の日以前1年間で雇用保険に加入していた期間が合計6ヵ月以上であること」「就職する意思・能力があるにもかかわらず職業に就けない状態にあること」の3点。

 

受給額は被保険者期間が1年未満の場合は「基本手当日額の30日分」となり、1年以上では「基本手当日額の50日分」。基本手当日額は算定の基礎となる1日あたりの賃金=賃金日額から算出します。賃金日額は「退職前6ヵ月の賃金合計÷180」で割り出し、所定の給付率50~80%をかけて基本手当日額を算出します。

 

たとえば65歳、雇用保険の被保険者期間が5年で、退職前の月給が27万円だったとしたら、基本手当日額は5,741円となり、高年齢求職者給付金の支給総額は28万7,050円となります。

 

高年齢求職者給付金の支給を受けるためには、対象条件に雇用形態は問われません。パートなどでも雇用保険に加入していて被保険者期間が通算6ヵ月以上であれば、支給対象になる可能性もあります。65歳以上の高齢者でも働く意欲がある人は、支給条件を確認のもときちんと申請をして、再就職を有利に進めていきましょう。