「為替介入」とは?
2022年9月末の時点でドル円の価格は145円台になりました。ドル円が140円台で推移するのは1997年代以来です。円安が進むペースが極めて早いため、日本の経済に大きな影響を与えています。そしてついに止まらない歴史的な円安を止めるべく、日本政府がドルを売って円を買う為替介入を行いました。国が介入するということは、FXにおいてどのようなことを意味するのでしょうか。
まずはじめに為替介入とはなにかを解説します。簡単に説明すると、為替介入とは、政府が一方的な通貨安や通貨高に歯止めをかけるため、自ら市場にお金を流すことです。2022年9月に行った為替介入では日本政府は約2兆8000億円もの資産を投じて円安を止めようとしました。その結果、短期間で急激に上昇していたドル円の値動きが落ち着きました。国による介入はそれまで止められなかった一方的な通貨安を止める力があることを証明しました。
また為替介入の方法には2種類あります。円とドルでたとえると、円安の場面と円高の場面で介入の方法が違ってきます。
まず、一方的な円安ドル高の場合、ドル建てで保有している資産を売却して円を次々に買っていきます。市場における円の価値を強制的に上げて、ドルと円のバランスを整えていきます。
次に、一方的な円高ドル安の場合、短期証券を発行して円を調達し、証券を売却してドルを買います。市場におけるドルの価値を強制的に上げることでドルと円のバランスを整えます。
為替介入による影響
一方的な値動きを止めるために行われている為替介入ですが、為替介入をすることで市場にどのような影響をおよぼすのでしょうか。大きなポイントは、政府が死守するラインができるということです。そのため、ある一定のラインまで価格が進むと巨額の資金を用いて相場を逆方向に動かします。
為替介入が行われる環境では、いきなり数100pipsの値動きをみせるなど、不安定でボラティリティの高い相場になります。不確実性が高い相場となるので、このような相場でロットを大きく張ると、いままで積み重ねてきた利益を一挙に失うような損切りにあう恐れがあります。
しかし、政府が行う為替介入にも限界があります。今回の為替介入のように、ドル建て資産を売却して円を買う為替介入を行うには、政府の資産をなにかと両替しなければなりません。両替するということは、強制的にどちらかの国を通貨安にするということを意味します。そのような強制的な通貨安は、国家間の信頼関係にも影響していきます。そのため、何度も為替介入をすることができない政府は、じっくりと機を狙って相場に多大なインパクトを与えようとします。
その結果、誰も予想をしていないタイミングでいきなり数100pips以上の値動きをみせるのです。為替介入は市場に大きなインパクトを与えると同時に、チャートに莫大な資産を背景としたレジスタンスを強制的に作る影響力を持っています。国と国の信頼関係を悪化させる可能性もある為替介入は、政府が持つ最終兵器であり、もろ刃の剣でもあるでしょう。