トラブルの種類を分類する
トレードにおけるトラブルは主に2種類に分類できます。1つ目は防ぎようのないトラブル、2つ目は未然に防ぐことのできるトラブルです。
1つ目の防ぎようのないトラブルは、自然災害や不意の政治的要因など、為替市場で事前に予測できない変化が起きたときに現れる現象を指します。防ぎようのないトラブルは発生してから考えるしかないので、1秒でも早い判断が求められます。
2つ目の防ぐことのできるトラブルは、日次のトレードで起こり得る不安要素が積み重なった結果、大きなトラブルが生じてしまうという現象です。
たとえば、トレードルールを事前に決めている人が、ある日だけルールを破ったとします。なにも問題なく利益確定まで進めれば問題はありませんが、トレードルールを破ってしまったという小さな不安要素は、いずれ大きな損失を被る確率を高くします。
労働災害の背景を法則化した「ハインリッヒの法則」というものがあります。ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故が起こる背景には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハット(事故寸前の異常)が隠れているというものです。重大事故の背景にある些細な異常の比率から「1:29:300の法則」とも呼ばれています。
労働災害になるような事故もFXトレードも同様に、日常のなかに隠されている300件のヒヤリハットに一つひとつ対処していく必要があります。多くの初心者トレーダーは「運がよかった」という楽観的な対応でことを終えてしまいますが、安定した利益を出すプロトレーダーは少しの異常でもなぜそのような事態が起きたのかを分析し、再発しないための防止策を検討します。未然に防げるトラブルは意識ひとつで変えることができます。
未然に防げるトラブルを放置してしまう初心者トレーダー
FX初心者は前述したヒヤリハットのような事故寸前の異常を放置してしまう傾向があります。危険な状態を放置することで小さな事故につながり、しまいには相場に復帰できないような大きい損失を被ることがあります。
なぜ初心者トレーダーは小さな異常を放置してしまうのでしょうか。異常を放置してしまう要因は、初心者トレーダーの心理的な側面に隠されています。起こりもしていないトラブルに対応することは非常に面倒なことです。さらに、自分にとって不利益をもたらしていないトラブルには対応策は必要ないと考えるトレーダーが多く存在します。
確かに、危ない場面があっても最終的に利確できていれば問題ないと考えることは自然のように感じます。「なにか起こったら考えればよい」と考えているトレーダーが非常に多いのです。しかし、天才的なトレーダーであれば問題ないかもしれませんが、初心者トレーダーのように安定して稼げない人が発生してから物事を考えてしまうのは危険です。なにか起こってからでは遅いため、日常的な不安要素はひとつずつ潰すべきなのです。