トレンドが反転または継続する際に現れる、特徴的なチャートの形の「チャートパターン」。チャートパターンが形成されても思うほうに値動きが進まないのには理由があると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。
「チャートパターン」が形成されても思うほうに値動きが進まないワケ【プロFXトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

チャートパターンが形成される理由

日々テクニカル分析を頼りにトレードしている人はたくさんいるでしょう。そのなかでもチャートパターンについて勉強したことがある人は多いはずです。トレードに関する本やネット記事などで紹介されているチャートパターンですが、なぜそのようなチャートパターンが高確率で機能しやすいのでしょうか?

 

「相場は生き物」と比喩されることが多いように、チャートは常に不確実性の高い値動きをしています。そのなかでも「ダブルボトム」や「逆三尊」など、チャートの形を指摘する冊子や解説を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。このようなチャートごとの一定の形状をチャートパターンと呼びます。

 

チャート上の価格の動きを決める要因は、主にトレーダーの意思です。ときにアルゴリズムや大きな注文によって一時的に一方的な値動きがあるものの、基本的に相場を動かしているのは人々の意思決定です。つまり、高確率で機能するようなチャートパターンは、大多数のトレーダーの意思が同じ方向に向いているから起こるのです。

 

法則もなく合理的な説明ができないが、一定の確率で起こる現象を「アノマリー」といいます。チャートパターンもアノマリーのひとつで、これといった原因はありませんが、高確率でチャートパターンどおりに相場が動きます。しかし、なぜ多くのトレーダーの意思が同じ方向に向くことがあるのでしょうか。チャートパターンというアノマリーを解説する際のポイントは、人間の一貫性を貫きたい本能に隠されています。

 

人間には「一貫性の原理」という本能が備わっています。自らの行動に一貫性を持たせたい人間は、物事の流れに違和感や矛盾が生じることを嫌います。FXの世界で置き換えて考えると、「こうなったら、そうなる可能性が高い」というチャートパターンを学習したトレーダーにとって、予想外の値動きは大きな違和感であり、ストレスを感じさせる要因になります。多くのトレーダーが同じ違和感を避けるために、チャートパターンに沿った売買を行うため、高確率で皆が知るようなチャートパターンが形成されます。

 

このように人々の似通った意思決定が凝縮されて、ひとつのチャートパターンが形成されていきます。