「損切り貧乏」という言葉をご存じですか。損切り貧乏とは、細かい損切りを繰り返すことにより、トータルで見たときに得られた利益よりも、損切りしたときの額のほうが上回ることを指します。比較的大きな損を被ることはありませんが、損切り貧乏に陥る人はジリジリと資産が目減りしていくのです。今回は、損切り貧乏に陥る理由と合理的に利益を積み上げていくためのコツについて、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏が解説します。
大損はしていないのに、なぜかジリジリ資産が目減りするFX初心者…「損切り貧乏」にならないために「決めてはいけない」1つのルール【月利30%トレーダーの助言】 ※画像はイメージです/PIXTA

初心者トレーダーが陥りやすい「損切り貧乏」

大きな損切りはしていないのに、なぜか資金が増えていかないという経験をしたことがある人は多いでしょう。せっかくトレードルールに則ってトレードをしているのに利益を積み上げることができないと、トレードに対するモチベーションは下がってしまいます。多くの初心者トレーダーが経験する資金が増えないジレンマは、「損切り貧乏」と呼ばれる細かい損切りの積み重ねが原因である可能性が高いでしょう。

 

一見、トレードルールに基づいて細かく損切りを行っているようにみえますが、実は細かく損切りすることで利益になる可能性が高いトレードを自分自身で手仕舞いしてしまっている可能性があります。損失を被らないことを優先するあまり、許容する損切り幅が小さいため、相場の一時的な価格変動に巻き込まれ、無駄な損切りを行ってしまうことがあります。

 

テクニカル分析に基づいた相場観は正しかったものの、適切な許容損切り幅を設けなかったがゆえに損切りを繰り返してしまうことは非常にもったいないことです。しかし、初心者トレーダーで損切りに対して異常に恐怖心を持つ人は一定数存在し、そのほとんどが無意識のうちに利益チャンスを逃しているのです。

柔軟性のあるトレードルール

損切り貧乏は損切りに対する恐怖心から生まれます。誰でも自分の資産が減ることは精神的に耐えられないでしょう。細かく損切りを重ねてしまう損切り貧乏は、損切りすることへの恐怖心から生じます。自分の資産を減らしたくないという根底の欲求により、無自覚で小さな損切りを繰り返してしまいます。

 

トレードルールを定めて、ルールに基づいた取引をすることは重要です。しかし、規則や縛りが大きすぎるルールを定めてしまうと、多種多様な動きをする相場で対応することができません。たとえば、トレードルールとして「10pips下がったら損切りする」というルールを定めるとします。ルールは数値化されていて、非常にわかりやすく、機械的に遂行できるいいルールです。

 

しかし、相場には値動きが小さい期間と大きい期間が存在します。そのため、このルールは値動きが小さいときには優秀な成績を収める可能性が高いですが、値動きが大きいときにはポジションを持った瞬間に損切り対象になってしまう可能性があります。トレードルールの策定は非常に大切ですが、ルールによっては損切り貧乏を招くことがあります。

 

また、FX初心者が策定するトレードルールは柔軟性に欠けていることが多くあります。思ったように利益が乗らないのであれば、一度トレードルールの見直しを検討するといいでしょう。