むくみとは?
むくみとは医学用語では浮腫といい、人間の身体の6割を占める水分は、細胞の中に3分の2、細胞の外に3分の1(血液と細胞)の割合で分布しています。それが何らかの原因で細胞の外側の水分が多くなったときに、むくみとして現れます。
足が冷えたり、立ち仕事で足をおろしていると、夕方には靴下のあとが少しつくが、一晩眠れば元に戻っているという人は、重力の関係で筋肉を動かしていないと静脈の血液の戻りが悪くなり、むくみとして現れます。普段の生活でこまめに動くことを心がけたり、冷えないように気をつければ、症状は改善するはずです。
しかし、なかには病気が隠れている危険なむくみも多くあります。症状が続く場合や、悪化している、もしくは急にむくみが出たなどの場合は注意が必要です。
病気が原因で起こるむくみ
1.心臓が原因のむくみ
心臓の働きが低下すると、全身へうまく血液が送りこめなくなり、静脈で血液が渋滞する事で、血液中の水分が顔や足などの組織にしみ出てむくみが起こります。指で足のスネのあたりを強く押すと、へこんだ痕が残ったり、1週間で2~3kg以上の体重増加がある時は要注意です。
また、血液の渋滞により、肺に血液がうっ血した状態になることで、疲れやすさや呼吸の苦しさが現れます。ちょっとした動作で息切れがしやすいといった場合には、「心不全」が疑われます。「心不全」とは身体が必要とする酸素がうまく供給されていない状態を言います。
「心不全」の特徴的な症状として、起座呼吸があります。難しい医学用語ですが、寝て横になっていると呼吸がしにくく、起き上がると息が楽にできるようになる呼吸のことです。これは「心不全」のために、肺に血液がうっ血したことによって起きます。また仰向けになって寝ると咳が出るという症状も、心不全を疑う症状であり、風邪や気管支喘息など他の病気と勘違いされることが多いので注意が必要です。
2.腎臓が原因のむくみ
腎臓は身体の中の不要な老廃物や水分を尿として排出する臓器です。その腎臓がさまざまな原因で機能が低下すると、体に不要な水分が溜まってしまい、むくみが発生します。 主な病気としては、腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病腎症などがあり、まず顔がむくんだり、まぶたが腫れぼったくなります。その他、全身のむくみや吐き気、食欲不振、高血圧なども起こります。重症になると、けいれんや意識障害が起きる場合もあります。
3.肝臓が原因のむくみ
肝臓は身体の毒素を綺麗にする臓器です。肝炎ウイルスへの感染や、アルコールの飲みすぎなどで長期にわたって肝臓がダメージを受けると、全身のむくみや白目や皮膚が黄色くなる黄疸、体のだるさなどが現れる場合があります。
4.甲状腺が原因のむくみ
甲状腺は身体の新陳代謝を司るホルモン(いわゆる元気ホルモン)を分泌する臓器です。この元気の源である甲状腺ホルモンが少なくなると、むくみに加えて、体重の増加や、常に眠気やだるさを感じる、寒がりになる、汗をかきにくくなるなどの症状が出現します。元気がでるホルモンがさまざまな理由で少なくなったために出る症状です。むくみが非圧痕性なことも特徴です。
5.深部静脈血栓症
急にむくみが出た場合は、体で何らかの異常が起こったサインです。 飛行機などに乗って長時間同じ姿勢でいた後などに足がむくんだ場合、深部静脈血栓症(エコノミー症候群)が疑われ、重い痛みがあり片足だけがむくむのが特徴です。足の静脈にできた血栓が、肺や脳などの血管に詰まると命に関わる場合もあるので、すぐに病院を受診しましょう。
6.その他
片側性のむくみでは、下肢静脈瘤やリンパ浮腫が疑われます。薬の服用直後にむくみを感じた場合も、副作用の可能性があるので注意が必要ですが、頻度は稀です。
いずれの場合も、まずは原因を明確にするために、医療機関に受診して検査しましょう。