先日、東京都労働委員会によって、フードデリバリーといった「ギグワーカー」を労働者と認める法的判断が初めてされました。今後、ギグワーカーの働き方や待遇に影響を与えるかもと期待されていますが、まずはどのような環境下で働いているのか、みていきましょう。
平均年齢44歳・手取り23万円も「報酬が安すぎる」…いますぐ辞めたい「フードデリバリー」の悲鳴 (※写真はイメージです/PIXTA)

頑張れば稼ぐことはできるけど…フードデリバリー、なぜやめたい?

厚生労働省の職業情報提供サイト『jobtag』によると、フードデリバリー(料理配達人)平均年収は380.1万円(平均年齢は44.7歳)。月収にすると31万円、手取りにすると独身者で23万円ほど。

 

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2022』でも、フードデリバリー配達業務全般に対する満足(「満足」「やや満足」の合計)は62.5%。また継続意向(「ずっと続けたい」「しばらくは続けたい」の合計)は81.9%と高い数値を示しています。自由な就業スタイル、そして頑張り次第で収入を増やせる点など、やはり魅力なのでしょう。

 

ただ業務に対して不満(「不満」「やや不満」の合計)を抱いている人も18.1%いますし、やめたい(「なるべく早くやめたい」「今すぐやめたい」の合計)12.6%います。少数派ではありますが、彼らの意見に耳を傾けてみましょう。

 

●報酬が安すぎる(男性・40代後半)

●事故のリスクが高すぎる(男性・30代前半)

●バイクの故障などの不意な出費を考えると損が大きい(男性・30代前半)

●負担が多すぎる、単価が低すぎる、専門的な稼ぎ屋にならなければ、最低時給以下となる。(女性・40代後半)

●体力的に辛い(男性・30代後半)

●運営のサポートがほぼない。何もしてくれない。(男性・40代前半)

●将来的に継続できる仕事ではない(男性・30代前半)

●報酬が低い。事故で人生を棒に振ることもある(女性・50代前半)

●ルールの改定が頻繁で安心してできない(男性・50代前半)

 

出所:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会『フリーランス白書2022』より。「今すぐやめたい」と回答した者の自由回答より

 

稼ぐにはそれなりのテクニックも必要とされるフードデリバリー。誰もが満足いくだけ稼ぐことは難しいようです。ただ報酬そのものの水準が低いとなれば別問題。また最近は改善の方向が示されているとはいえ、事故が起きたら自己責任というリスクも働く身としては不安要素のひとつ。オンラインで単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の広がりを妨げるという指摘もあります。

 

欧米ではフードデリバリーなどギグワーカーを労働者として保護するルール整備が進んでいます。一方、日本では法整備の遅れが指摘されてきました。多様な働き方に安心・安全という要素が加わるか、今回の法的判断とその後に注目が集まります。