長らく低金利環境が続く日本では、資産形成のために「外貨建て保険」を利用している人が少なくありません。しかし、その仕組みをよく知らずに加入し、トラブルに発展するケースが後を絶たないと、FP Officeの橋本徹氏はいいます。「注意すべきキーワード」を鵜呑みにしてしまった3人の事例をもとに、保険加入時の注意点についてみていきます。
営業マン「任せてくれれば大丈夫ですから…」無知な投資初心者を狙う「外貨建て保険」の甘いワナ【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

2.「設計上は支払期間を長くしてありますが3年で止められます」

まとまった手元資金1,000万円の運用を考えるBさん。株式投資や投資信託を始めることも考えたが、知識がなく信頼できる相談先もなかったため、担当の保険営業マンに連絡した。

 

営業マンから提案された保険は、「333万円(年払い)を10年間支払う」というプラン。保険設計書を確認すると、支払い総額は「3,333万円」となっている。

 

Bさんは不思議に思い、「そんな資金はない。運用したいのは1,000万円だ」と伝えた。

 

すると保険営業マンは「支払いは3年で止められるので大丈夫。1,000万円以上払うことはない。3年で支払いを止めても将来的に利益が確保できる仕組みなので安心してほしい」と説明。

 

仕組みはいまいち理解できなかったが、その営業マンとのこれまでの信頼関係もあり加入手続きを行った。

 

3年後、Bさんは営業マンの言う通り支払いを止め、資金を引き出そうと思い営業マンに連絡。すると、その時点では解約金が支払額を大きく下回っており、おおよそ7年は経たないと利益が出てこないということがわかった。

 

さらに、「支払期間中の為替変動があり、支払った保険料は1,000万円を超えている。利益も為替レートによって左右されるため、円に換算していつプラスになるのかは明確に回答できない」と営業マンから説明を受けた。

 

Bさんは、「加入時にこの説明を受けていたら加入していなかった」と嘆く。

 

「平準払保険」と「一時払保険」

Bさんの加入した保険は「平準払」と呼ばれるものであり、「加入から何年間または何歳まで保険料を支払う」という加入方法である。平準払保険の場合、加入後10年程度は解約金が支払保険料を下回る商品が多い

※ 下回る期間は、商品や加入条件によって大きく異なるため注意が必要。

 

保険には「一時払」という加入方法もあり、Bさんの意向・目的により近かったのは一時払商品だったと推察する。

 

営業マンの勧める保険が自身の目的と合致しているか、特に運用目的の場合は解約するタイミングによっては大きく損をする可能性があるということもしっかりと加入前に確認することが大切である。