(※画像はイメージです/PIXTA)

連日、米国IT大手の人員整理のニュースが大きく取り上げられていますが、このような話題が出るたびに「日本は解雇しにくい国」ということが議論されます。では世界の中で、日本はどれほど解雇しにくい国なのでしょうか。OECDの資料から紐解いていきます。

OECD調べ…「解雇しやすさ」の日本の順位は?

ツイッター社、アマゾン、メタ……米IT大手による大量解雇のニュースが連日賑わいをみせていますが、このような報道があるたびに、「大量解雇なんて、日本ではムリ」「日本も大胆な人事ができるようにならないと、世界で戦えない」などといった声があがります。

 

一方で「日本では解雇が難しいというのは幻想」という声も。どういうことなのでしょうか。OECDによる解雇規制の強さを指標化した「雇用保護指標」のランキングでは、42ヵ国中トップは「チェコ」。「トルコ」「オランダ」「ポルトガル」「イタリア」と続きます。これらの国は世界でも解雇しづらい国だといえるでしょう。

 

【世界主要国「解雇しにくさ(雇用保護指標)」上位10】

1位「チェコ」3.03

2位「トルコ」2.95

3位「オランダ」2.88

4位「ポルトガル」2.87

5位「イタリア」2.86

6位「イスラエル」2.83

7位「ベルギー」2.71

8位「ラトビア」2.71

9位「フランス」2.68

10位「アルゼンチン」2.56

 

出所:OECD(2019年)

 

一方雇用保護指標の低い、解雇しやすい国はというと、トップは「コスタリカ」。「ウルグアイ」「アメリカ」「スイス」「カナダ」と続きます。

 

日本はどれほど順位は上なのか……とみていくと、42ヵ国中28位。世間的なイメージとは異なり、日本は世界でも「解雇しやすい国」に分類されるといっていいでしょう。

 

世界と比較すると、日本は解雇に関する法律のしがらみは弱く、解雇しやすい環境にあるといえますが、ではなぜ「日本は解雇規制が厳しい」というイメージが一般化しているのでしょうか。

 

日本では労働契約法第16条で、解雇に関するルールをあらかじめ明示しています。

 

◆労働契約法第16条

使用者からの申し出による一方的な労働契約の終了を解雇といいますが、解雇は、使用者がいつでも自由に行えるというものではなく、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできません

 

ほかにも労働労基準法19条では「①労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」「②産前産後の女性が65条(産前産後休業に関する条項)の規定によって休業する期間及びその後三十日間」と2つで解雇を禁じています。

 

また男女雇用機会均等法6条では、性別を理由として差別的な取扱いをすることを禁じ、同法9条では、女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを理由とした解雇や、産後一年を経過しない女性労働者に対する解雇を禁じています。

 

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